第1話『私…涙、あげちゃったから』
造り酒屋の1人息子である仲上眞一郎。絵本作家に憧れる彼は、ある夜、眞一郎は、高い木の枝の上に天使が座っている絵を描いていた。絵を描くことに没頭する彼の脳裏には、いつしか天使の鮮明なイメージが浮かぶ。その天使はふわりとした巻き毛の、あどけない少女だった。翌日、学校の裏庭を通り抜けようとした眞一郎は、樹上から鼻歌が聞こえてくることに気づいた。顔を上げると、そこには赤い実を取っている少女がいた。彼女は、昨晩眞一郎がイメージした天使にそっくりだった…。
第2話『私…何がしたいの…』
眞一郎が出会った少女・石動乃絵は、彼に涙を集めていると打ち明けた。その翌日から、彼を見かけると全身で喜びを表現するようになる乃絵。そんな時、心に傷を持つ少女・湯浅比呂美は、2人の関係が気になって乃絵を紹介して欲しいと眞一郎に頼む。眞一郎は、乃絵と友達になることで彼女に笑顔が戻ればいいと思うが…。
第3話『どうなった? こないだの話』
赤い実で執拗に餌付けしようとする乃絵に腹を立てた眞一郎は、彼女を追いかけていた。その途中、彼は見知らぬ男に甘える乃絵の姿を目撃してしまう。そんな時、幼馴染の少女・安藤愛子から乃絵を紹介して欲しいという比呂美の真意をほのめかされた眞一郎は、1人舞い上がってしまうのだが…。
第4話『はい、ぱちぱちってして』
比呂美が想う人は自分ではないと知った眞一郎。それ以来、2人の関係はどこかぎこちなくなってしまった。鬱々とする眞一郎の悩みを取り除こうと健気に振舞う乃絵…。そんな乃絵の涙の秘密とは? そして、愛子の本当の気持ちが明らかになっていく…。
第5話『おせっかいな男の子ってバカみたい』
乃絵の兄・純から妹と付き合ってくれと頼まれた眞一郎は、その代わりにとんでもない交換条件を彼に突き付けた。その条件を純にあっさりと受け入れられてしまった眞一郎だったが、その行為が事態を急変させることになり…。
第6話『それ…なんの冗談?』
三代吉と愛子のあやうくも微妙な関係は、セーター事件によって急激な展開を始めた。そんな中、純の出現に動揺した比呂美は、眞一郎の母からの叱責に激昂する。そして、絶対に隠し通していかねばならない秘密が比呂美にはあったのだ…。
第7話『ちゃんと言って、ここに書いて』
比呂美の話を容易に受け止めることができない眞一郎。彼と悩みを分かち合いたい乃絵は、比呂美と大喧嘩になってしまう。そんな乃絵の真剣さが、眞一郎の心に変化をもたらす。初雪が校庭を白く染めた日、雷轟丸の墓の前で、乃絵は言葉以上の誠意を求める。そして、降りしきる雪の中、眞一郎は愛子の店に向かい…。
第8話『雪が降っていない街』
いくつもの曖昧な感情が絡み合う奇妙な関係が始まった。だが、それが続くことに耐えられなくなる比呂美。そんな彼女に、純はゲームを持ちかける。一方、乃絵が見せてくれる空に導かれるように、眞一郎は絵本を描き続ける。2人で紡ぎ始めた物語はどこへ向かうのか? そして、それぞれの葛藤は新しい段階に発展するのか?
第9話『なかなか飛べないね』
眞一郎の母の言葉で、ゆるやかに変わり始めた比呂美との関係。そんな中、比呂美の停学処分を巡って、眞一郎は学校で大喧嘩をしていた。体を張ってその喧嘩を止めたのは、意外にも乃絵だった。絵本に描いたことの本質に、眞一郎自身もまだ気づいていない。乃絵だけが、一人でそれを静かに受け止めていて…。
第10話『全部ちゃんとするから』
事態の流れに翻弄され続ける不本意な関係。そんな自分を断ち切ろうと、乃絵や比呂美、そして愛子はそれぞれの選択を決意する。その中、眞一郎の自転車は、全てを吹っ切るかのように疾走する。長い間のわだかまりは確実に溶け出したかに見えた。しかし、彼らを取りまく環境は、複雑に絡み合ったままで…。
第11話『あなたが好きなのは私じゃない』
祭りの準備で賑わう町。眞一郎は絵本を書きあげたものの、乃絵に見せることをためらっていた。一方、乃絵と比呂美は、自分以外の存在が眞一郎の心の中で揺れていることに、やり場のない焦燥感を募らせていた。そんなある日、比呂美の携帯に純から電話がかかってくる。その緊迫した純の声に、比呂美は戸惑いを覚えて…。
第12話『何も見ていない私の瞳から』
最愛の妹が自立しようとする姿を愛おしく見守ってきた純は、抑制のきかない感情に苦悩していた。麦端祭りの当日、松明に照らし出された舞台で力強く飛翔する眞一郎の雄姿を乃絵や比呂美、愛子が見つめる。自分の本当の姿と向き合うことが出来た今、眞一郎は何のために踊るのか? そして、彼は誰のために跳ぶのか…?
第13話(最終回)『君の涙を』
理解される喜びも、信じられる喜びも、愛される喜びも、人との係わりの中でしか得られない。恋はドラスティックに人の内面を曝け出す。真の自分を知った彼らは、招く結果に関わらず、もう一度大切な人と向き合うことを選ぶ。一度は雪で覆われた大地を春の訪れが開放するように、眞一郎は本当に全部ちゃんとできるのか?