第1話『大災害』
気づいたとき、シロエはゲームの中の「アキバの街」に立っていた―。 オンラインゲーム「エルダー・テイル」に接続していた日本人3万人が、ゲームの世界に閉じ込められた! 画面の向こう側にあったはずの世界が「現実」となり、混乱する人々であふれるアキバの街で、シロエは旧友・直継を見つける。そして、再会に安堵するふたりの前に現れたのは、腕利きの「暗殺者」アカツキ。 アカツキはシロエに頼みがあるという。
第2話『ロカの遭遇戦』
<大災害>によって、ゲームの世界に閉じ込められた人々は、混乱の極みにあった。 アキバの街では大規模ギルドが幅を利かせ、街の外では、凶悪なプレーヤーが他のプレーヤーを襲う、「PK(プレーヤー・キル)」という卑劣な行為が横行していた。 そんななか、マリエールたち「三日月同盟」に所属する少女が、北の「ススキノ」の地で救援を求めている、という。忸怩たる思いを抱いていたシロエはひとつの決断をする。
第3話『パルムの深き場所』
ギルド「三日月同盟」に所属する少女セララは、謎の男にかくまわれ、北の都市「ススキノ」で救出を待っていた。 一方、セララを救うため、旅を続けるシロエたち。ゲームの世界特有の味がしない食べものにウンザリしながら北へと向かう。そして、3人が潜入したのは、崩れ落ちそうな古代の坑道が交差する地下迷宮「パルムの深き場所」。この迷宮で、シロエたちを出迎えたのは、不気味なモンスターだった…。
第4話『脱出』
北の都市「ススキノ」へとたどりついたシロエ、直継、アカツキは、ぶじセララと合流した。そして、セララをかくまっていた猫人族の盗剣士・にゃん太とともに、ススキノの街からの脱出を図った。 ところが、5人の前に立ちはだかったのは、セララ奪還をねらう凶悪ギルド「ブリガンティア」の一団だった。 スゴ腕の武闘家・デミクァスらの猛烈な攻撃を受けるシロエたち。多勢に無勢の状況をいかに切り抜けるのか!?
第5話『アキバへの帰還』
セララとともに「ススキノ」を脱出したシロエたちは、アキバへと南下の旅を続けていた。 その道中、一行はある村で「大地人」の一家と出会う。もともとゲームの中に存在していたキャラクターにすぎない「大地人」は、人格も個性も持たぬはずだったが、目の前で話をするうちに、直継は違和感を覚える…。 シロエたちは、自分たちが投げ出されたこの世界が「ゲームだったころ」と同じではないことに、徐々に気づかされるのだった。
第6話『決意』
アキバへと帰り着いたシロエに、マリエールは街の様子を告げる。 当初の混乱は収束しつつあるものの、アキバの街では規模の大きなギルドが幅を利かせ、タチの悪いギルドは、初心者を言葉巧みに誘っては、搾取を続けていた。そんな雰囲気にやりきれなさといらだちを感じていたシロエは、直継、アカツキ、にゃん太に、ある決心を打ち明ける。 そして、マリエールたちに「アキバの街の掃除をする」と宣言するのだった。
第7話『クレセントムーン』
シロエやにゃん太から伝えられた、この世界での「料理の秘密」をもとに、マリエールたち「三日月同盟」はファストフードの屋台を立ち上げる。 味のない無機質な食事にウンザリしていた街の人々に、マリエールたちの「クレセントバーガー」はとてつもない衝撃を与えた。しかし、ハンバーガーを売りさばくことはシロエの本当の目的ではなく、シロエは「三日月同盟」のヘンリエッタとともに次の一手を練り始める。
第8話『腹ぐろ眼鏡』
クレセントバーガーでアキバの人々を驚かせた「三日月同盟」のマリエールとヘンリエッタは、大手の生産系ギルドを率いる「第8商店街」カラシン、「海洋機構」ミチタカ、「ロデリック商会」ロデリックのもとを訪ねる。 シロエの描いた青写真どおり、クレセントバーガーの極秘のレシピをちらつかせながら、交渉に臨む敏腕会計士のヘンリエッタ。腹の探り合いが続く交渉のなか、彼女が要求したものとは…。
第9話『円卓会議』
「アキバの街」の安定を願うシロエは、街の有力ギルドマスターをギルド会館に呼び集めた。目的はアキバの自治を担う「円卓会議」の結成。 しかし、ギルド間の思惑が異なり、提案は暗礁に乗り上げかける。そこで、シロエが口にしたとんでもない「切り札」とは…? 一方、息詰まる会議の裏では、悪徳ギルド「ハーメルン」からの新人救出作戦も進行していた。アキバの街を舞台に策士シロエの静かな戦いが続く!!
第10話『その手につかみとれ』
アキバを代表する10人のギルドマスターを前に、シロエは街の活性化と治安維持の必要性を説く。その冷静かつ有無を言わせぬ口調に、ひとりまたひとりと賛意を示す有力者たち。こうして、アキバの街に自治組織「円卓会議」が発足した。 そんな一仕事を終え、シロエたちギルド「記録の地平線」は、和気あいあいと引っ越しの日を迎える。その晩、引っ越し祝いににゃん太からは特製のカレーがふるまわれ…。
第11話『イースタルからの招待状』
「円卓会議」の結成をいち早く察知した「自由都市同盟イースタル」の大地人貴族たちは、アキバの街へと使者を送り、シロエやクラスティたちを領主会議へと招待した。魔法の氷に覆われた宮廷で、貴族たちは何をもくろんでいるのか…。 同じころ、ミノリやトウヤたち年少プレーヤーは戦闘力強化の合宿のため、海へと向かう。日ごろのストレスを抱えるマリエールも、引率の立場を忘れ(?)、潮騒に心を躍らせるのだった。
第12話『ラグランダの杜(もり)』
新人強化合宿で、ザントリーフ半島を旅する年少プレーヤーたち。ミノリとトウヤ、セララは吟遊詩人・五十鈴と妖術師・ルンデルハウスとチームを組むことになった。彼らが向かったのは、スケルトンが待ち受ける「ラグランダの杜」。おっかなびっくりのセララに、負けず嫌いのトウヤ、プライドの高いルンデルハウス…。初めてのパーティー戦で、この5人組は息を合わせて戦うことができるのか…。
第13話『盾と自由』
「自由都市同盟イースタル」から宮廷へと招かれたシロエ、クラスティ、ミチタカ。大地人貴族たちは、さまざまな会合に3人を巻き込み、アキバの街や円卓会議について、探りを入れているようだった。 そんななか、理知的で堂々たるふるまいを見せていたクラスティが目をつけたのは、コーウェン公爵家の令嬢レイネシア。清楚ではかなげ、でもちょっと気だるそうな姫君にグイグイと迫っていって…!?
第14話『ワールド・フラクション』
シロエとアカツキは、謎の魔法学者リ=ガンの部屋に招き入れられた。彼の口から説き明かされるエルダー・テイルの世界の原理に、シロエは驚きを隠せない。なかでも、冒険者の死と復活にかかわる「魂魄理論」によれば、「ゲームの中であればキャラクターが死ぬと経験値を失うだけだが、この異世界では生身の人間として記憶の一部を失ってしまう」という…。 衝撃の事実にさすがのシロエも思わず動揺する。
第15話『襲撃』
新人強化合宿に参加しているトウヤやミノリたち年少プレーヤーは、自分たちのふがいない戦いぶりに壁に突き当たっていた。そこで、ミノリが提案したのは、お互い「自己紹介」をすること!? 血気盛んなルンデルハウスは「話し合いより実戦経験が大事」と反論するが、はたして「自己紹介」の効果は…? 一方、海岸でゆっくりくつろぐ引率役のマリエールだったが、突如、信じられない光景を目撃する。
第16話『ゴブリン王の帰還』
ザントリーフ半島の海岸で、サファギンによる襲撃が始まったころ、内陸部でも、ゴブリンの進軍が確認された。モンスターたちがねらうのは、レイネシアの領地である「マイハマ」か、それとも「アキバ」か…。 ロエたち円卓会議にも緊張が走る。さらに、一部のゴブリンは略奪を目的に無防備なチョウシの町へと進む。何とか町を守りたいミノリたち新人プレーヤーは、戦闘への参加を訴えるが…。
第17話『怠惰で臆病な姫君』
ゴブリンの進撃を受け、自由都市同盟イースタルの大地人貴族たちは、緊急の会議を開く。大地人にとっての守護者である「イズモ騎士団」の消息は知れず、モンスター討伐はアキバの冒険者にすがるしかないはず…。しかし、体面を気にする貴族たちは、シロエたち円卓会議に頭を下げることを拒み、議論は空転していた。 そんななか、突然、コーウェン家の令嬢レイネシアが会議の場に割って入ったー。
第18話『遠征軍』
「アキバの街へ赴き、みずから冒険者たちにゴブリン討伐を懇願する」と宣言したコーウェン家の姫君・レイネシアが、アキバの街へやってきた! 正真正銘の「お姫さま」の登場に、三日月同盟のメンバーたちは興奮を隠せない。さらに、シロエがレイネシアのためにあつらえたのは特注の戦場コスチューム。集結したアキバの冒険者たちを前に、戦場の女神のような姿のレイネシアの演説が始まった。
第19話『あの背中を追いかけて』
海から、陸から、モンスターたちの襲撃を受けるザントリーフ半島各地で、冒険者たちの防御戦は続いていた。内陸部では、クラスティたちがゴブリンの中枢部隊を急襲。 一方、海辺のチョウシの町では、新人プレーヤーも奮闘を続けていた。雨中の乱戦となるなか、トウヤに襲いかかったのは巨大なダイアウルフ。トウヤ、絶体絶命…。そこに飛び込んできたのはルンデルハウスだった。
第20話『契約』
みずからの正体が大地人であることを隠し、五十鈴やトウヤ、ミノリらと戦闘に臨んだルンデルハウスだが、ダイアウルフを撃退した代償に致命傷を負う。大地人であるルンデルハウスは、このままでは命を失い、よみがえることはない…。 ミノリからの悲痛なSOSを受けたシロエは、グリフォンを駆り、チョウシの町へ急行する。はたして、ルンデルハウスの消えゆく魂のゆくえは…!?
第21話『ふたりでワルツを』
ザントリーフ半島でのモンスター戦を制圧した冒険者たちをねぎらうため、エターナルアイスの古宮廷では祝勝の宴が開かれた。 冒険者と大地人の融和を象徴するように、クラスティはレイネシアの手をとり、セルジアット公はヘンリエッタを誘い、オーケストラにあわせて踊り始める。マリエールと直継、にゃん太とセララ、次々とダンスのペアが生まれるなか、シロエが声をかけたのは…。
第22話『つばめとひなむく』
アキバの街には秋が訪れていた。モンスター討伐を終え、シロエは書類との格闘に明け暮れていたが、冒険者たちの初めてのイベントである「天秤(てんびん)祭」を控え、街は活気にあふれていた。 祭りの初日には、男女ペアで出場できる「ケーキバイキング」が開かれると聞き、ミノリとアカツキは胸を躍らせる。ふたりとも、シロエとペアになりたいと心に決めているのだが、はたして…。
第23話『魔法使いの弟子』
アキバの街の「天秤(てんびん)祭」も2日目。シロエとの距離が縮まったアカツキは朝から上機嫌で、直継とのドタバタもどこか楽しげな様子。 一方、シロエへの恋心に思い悩むミノリは、祭の運営を仕切るカラシンのもとを訪ねる。書類や伝票に埋もれるカラシンを見かねて手伝いをかってでるミノリ。どうやら、相当な数の大地人商人がアキバの街に流れ込んでいるようなのだが…。
第24話『混乱』
「天秤(てんびん)祭」が開かれ、異様なまでのにぎわいを見せるアキバの街。大地人商人が街にあふれ、事故やデマ、痴話ゲンカなど、些細なトラブルが頻発し、さすがのシロエも戸惑いを隠せない。 そんななか、ミナミの有力な貴族商人であるマルヴェス卿が突然、レイネシアのもとを訪れる。丁重にもてなそうとするレイネシアに、不気味な笑みを浮かべたマルヴェスが、そっと近づいた…。
第25話(最終回)『天秤祭(てんびんさい)<終>』
西の都市ミナミからの陽動作戦に揺れるアキバの街だったが、マリエールやヘンリエッタは、あえてにぎやかなファッションショーを開催する。カジュアルな衣装に身を包んだアカツキもランウェイを歩くが、そこにシロエの姿はない…。 その夜、シロエを待ち受けていたのは、あまりにも妖艶な「闇の女王」だった。陰謀の真意にふれ、誘惑に揺れるシロエ…。ストーリーは急展開する!