第1話『モーニン』
父親のもとを離れ、叔父のいる九州の高校へと転入した西見薫。しかし転入初日、慣れない環境と周囲からの好奇の視線に耐えられず、薫は激しい吐き気を催してしまう。教室を飛び出し、あわてて学校の屋上へと向かう薫。しかしそこで彼を待っていたのは、川渕千太郎との出会いだった。
第2話『サマータイム』
千太郎のドラムプレイを目の当たりにした薫。その日から、彼の頭のなかではジャズの響きが鳴り続けていた。そんななか、クラスメイトである律子の父が営むレコード店に、お客が訪れる。千太郎が「淳兄」と慕う桂木淳一を交えて、地下のスタジオで始まる、突然のセッション。初めて見る生のジャズセッションに、薫は興奮を隠しきれない。
第3話『いつか王子様が』
夏の海水浴場で、ひとつ年上の美しい先輩・深堀百合香と出会った薫たち。その清楚な雰囲気に、千太郎はすっかり心を奪われる。毎日のジャズの練習にも身の入らない千太郎の様子を見かねて、薫は千太郎に、百合香に交際を申し込むようにけしかける。そして律子を交えた4人は、ピクニックに出かけることになるが・・・・・・。
第4話『バットノットフォーミー』
クリスマスが近づいてきたある日、東京から再び淳一が戻ってきた。喜ぶ千太郎たちを前に、彼は「ライヴをやってみないか」と持ちかける。場所は、近くの繁華街にあるジャズバー。初めての人前での演奏に、2人は緊張と期待で胸をふくらませる。だがその一方、先日の突然の告白以来、薫と律子はぎくしゃくした雰囲気が続いていて・・・・・・。
第5話『バードランドの子守唄』
キスの一件以来、さらに悪化した薫と律子の仲。バツの悪くなった薫は結局、ジャズの練習に一度も顔を出さないまま、年を越してしまう。そんなある日、彼のもとに一通の手紙が届く。そこには、音信不通になっている母の近況が書かれていた。薫は、十数年ぶりに母と再会するため、無理矢理同行してきた千太郎とともに東京へ向かう。
第6話『ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ』
春。二年に進級した薫たちの前に、ド派手なクラスメイトが現れる。ビートルズや流行の音楽にのめり込み、髪型もマッシュルームにした松岡星児。彼は、自分が率いるロックバンドのドラムに、千太郎を誘う。初めは拒否していたものの、じつは苦労人である星児の境遇を聞き、共感を抱く千太郎。彼は、その願いを快諾するのだが・・・・・・。
第7話『ナウズ・ザ・タイム』
星児のバンド、オリンポスに参加することになり、練習に忙しい千太郎と、学園祭の実行委員に選ばれた薫。2人の距離は、開いていくばかりだった。そして迎えた学園祭の当日。観客の歓声を集めるオリンポスを目にして、薫は苦々しい想いを押さえきれない。しかし、そのステージで思わぬトラブルが発生して・・・・・・。
第8話『ジーズ・フーリッシュ・シングス』
まるで別人のような姿で地元に戻ってきた淳一。尊敬する淳一のボロボロの姿を目にした千太郎は、ショックを隠しきれない。周囲に巻き込まれるように大学紛争のリーダー的立場になった淳一。しかし彼はそこで忘れられない挫折を味わっていた・・・・・・。彼のアパートに押しかけた百合香は、傷ついた彼の姿を見て、すべてを捧げる決意をする。
第9話『ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー』
薫が九州に来て2回目のクリスマス。律子の気持ちを勘違いしたままの薫は、星児が主宰するパーティに出向くものの、寂しさを感じずにはいられない。一方、薫のために手袋を編む律子もまた、もどかしい想いに悩んでいた。自分からフッておいて、告白できるはずもない。逡巡する彼女の背中を押したのは、千太郎の言葉だった。
第10話『イン・ア・センチメンタル・ムード』
東京に駆け落ちした淳一と百合香――千太郎の恋は悲しい結末を迎えた。一方、薫と律子は、クリスマスの一件を経て、徐々に接近。なかなか次の一歩が踏み出せない薫だったが、風邪のお見舞いにやって来た律子に、彼は二度目の告白を果たす。そして季節はめぐり、高校三年の夏。練習に打ち込む千太郎に、ある知らせが舞い込む。
第11話『レフト・アローン』
父親の帰郷を知り、黙って家を出る千太郎。だが彼を待ち伏せる人物が・・・!?文化祭が近づき、星児から挑戦状を叩きつけられた薫たちは、意外なメンバーを増やし名曲「マイ・フェイバリット・シングス」をレパートリーに入れて高校最後のステージに臨む。準備は万端、あとは本番を残すのみとなった前日、思いもよらない出来事が!!
第12話(最終回)『オール・ブルース』
姿を消した千太郎。薫はその現実を冷静に受け止めようとするあまり、律子を傷つけてしまう。気持ちがすれ違ったまま、薫は東京の大学に合格し、町を離れる日が来るが・・・!?奇跡的に出会った薫と千太郎がジャズを通じて共鳴し輝いた時間。その光を失った薫の心はどこへ向かう?相棒との絆はどうなる?衝撃展開の最終回!!