第1話『新時代』
元は田舎村の下僕でありながら、戦場に出て武功を上げ、三百人将となった信。その信が率いる「飛信隊」は、秦国の特殊部隊として戦場を駆けまわっていた。熾烈な戦を戦い抜いてきた彼らは数多の勝利を積み重ね、その存在は敵にも味方にも知られるようになっていた。一方、王宮内では秦国の若き王・嬴政と国の実権を握る丞相・呂不韋の権力争いが激化。様々な思惑・野望・激情が渦巻き、今、新しい時代が動き始める!
第2話『静かなる戦場』
昨年、王騎が討たれた秦趙戦の仇である趙国宰相・李牧が突如秦国へと来訪するという。騒動の発端は他ならぬ呂不韋であり、この異常事態に、軍事総司令の昌平君より王宮に呼び寄せられた信と羌瘣は衛兵へと姿を変え会見へと紛れ込む。緊迫した雰囲気の中、固唾を呑んで見守る一同とは裏腹に和やかに会話をすすめる呂不韋と李牧。その二人の様子に戸惑う信たちだったが、不意に呂不韋は「李牧を殺す」と言い放った。
第3話『嵐の祝宴』
呂不韋と李牧の激しい駆け引きの末、秦趙同盟を成した両国はそれを祝して盛大な宴会を催すことになる。会場内には、その場に出席した信と羌瘣が思わず目を奪われる程華やかな光景が広がるが、それとは裏腹に秦趙両国の間には張り詰めた空気が漂っていた。そんな雰囲気をよそに意気揚々と宴会の席に付く信だったが、その向かいには仇敵・李牧の姿が。大将軍・王騎を殺した張本人である李牧に対し、信は思わず殺気を漲らせる。
第4話『王と蟻』
五年で将軍になることを政に誓い、再び戦場へと戻った信はひたすら武功を上げることを目指す。しかし、大きな手柄を上げるほどの戦には出会えず焦りを募らせる信。そんな中、信たちのいる前線地帯で秦国軍を押し返すべく魏国軍が集結し、思わぬ大軍と化していた。この好機に、飛信隊は敵将を討つべく単独で敵本陣を急襲する。しかし、相手の防陣を突破した先にいたのは、既に敵将を討ち取り悠然と佇む秦国の若き将・王賁であった。
第5話『第三勢力』
貴士族のエリートで構成された秦軍特殊三百人隊・玉鳳隊を率いる王賁は、戦の素人集団である飛信隊を「蟻」と呼び蔑む。その屈辱に思わず剣を抜く信だったが、王賁が繰り出した槍は信を圧倒し、力の差を見せつけた。その夜、悔しさに吠える飛信隊は、玉鳳隊を出し抜くべく自分たちにしか出来ない過酷な作戦を実行することを決意する。一方、王宮では政と呂不韋の権力争いが続く中、予期せぬ人物が政陣営に接触を図ってきた。
第6話『美しき猛毒』
大王派と呂不韋派とは別に新たに姿を現した第三勢力・後宮。そこは政の母・太后が支配する特別な領域であり、絶大な勢力を擁するが、これまで権力争いには興味を示さず静観していた。しかし、その後宮から大王派である肆氏の元に突如書簡が届けられる。後宮勢力を取り込めば陣営強化に繋がるが、太后の闇を知る昌文君は強い警戒心を示すのだ。この事態に大臣たちが対応を議論をする中、政は誰にも話すことなく一人後宮へと向かう。
第7話『呪われた王子』
かつて秦国と趙国の間で起こった長平の戦い。この戦で秦国は勝利を収めるが、未曾有の大虐殺を行ったことで趙国から深い恨みを受けることとなる。その恨みは趙国に残された秦国の王子・嬴政に向けられ、彼は幼い頃から侮蔑と虐待の日々を暮していた。月日は流れ、時の秦王崩御を機に、政を秦国へと逃がす極秘の計画が趙国の闇商人・紫夏の元に持ち込まれる。紫夏はこの仕事を受けるかどうかを決める為、政に会うことを要求するのだ。
第8話『政と紫夏』
失敗すれば命がないことを知りながら、紫夏は政を秦国へ送り届けることを決意し、一行は趙国を抜ける為の5つの関門へと向かう。紫夏の手腕により1つ目の関門を通過するが、その一方で、政は虚ろな目のまま何かに怯えるかのように夢にうなされ続ける。その様子を見た紫夏は政の身に異変が起こっている事を感じ取るがどうすることもできずにいた。そんな中、2つ目の関門を通過する際、政が隠れている俵に突如矢が射ち込まれる。
第9話『つなぐ願い』
味も匂いも痛みも何も感じることが出来ず、自分は壊れてしまっていると語る政。過去の亡霊に縛られ前に進むことが出来なかった政だが、紫夏が差しのべた手は政を闇から強く引き上げ、その手に救われた政は正気を取り戻す。最後の関門を抜けた一同は秦国への道を急ぐが、ついに趙国の騎馬隊に追いつかれてしまった。戦いながらの逃走は熾烈を極め、敵の猛攻に次々と仲間が倒れていく中、紫夏は決意の表情を浮かべる。
第10話『砕けた愛』
始皇5年、秦国は魏国の地・山陽一帯を領土とすべく、大軍を興して魏国へ侵攻させる。その中で、飛信隊は秦国総大将・蒙驁率いる本軍に組み込まれ、この戦で大功を狙う信は気合十分で行進するのだ。その頃王宮では、後宮の権を握る実力者たちが政の元へと来訪し、これで助力を得られると、大臣たちは大いに盛り上がる。しかし、ある夜、宮女・向は政の敵であるはずの呂不韋と仲睦まじく歩く太后の姿を偶然目撃してしまう。
第11話『揃い踏み』
王宮内の勢力争いにおいて、実の子である政に協力したかと思われた太后だったが、実は政の宿敵・呂不韋と裏で繋がっていた。二人の密会の現場を目撃してしまった宮女・向は身を潜めるも、気配に気づいた宦官の手により深手を負ってしまう。王宮内に異変が起き始めているその頃、戦場では、魏国に侵攻中の秦国軍の中にいる信、王賁、蒙恬の三人の若き将が、それぞれ大きな武功を目指し、ついに最初の城・高狼へと到着する。
第12話『高狼城攻略』
宮女・向の命がけの証言により呂不韋と太后の不義を知った政陣営は、一気に敵陣営を打ち砕くべくその事実を触れ回る。その効果は即座に現れ、呂不韋陣営を大きく揺るがすこととなる。一方、高狼城を攻める秦国軍は、敵の巧みな防御術の前に苦戦を強いられていた。幾日たっても戦局は動かず、徐々に士気が下がっていく秦国軍。強固な城壁を前に飛信隊も手が出せずにいたが、そんな中、玉鳳隊が単独前へと出る。
第13話『俺の戦り方』
井闌車を用い、高狼城の城壁の上へと攻め込んだ王賁。その勢いのまま玉鳳隊は城門を奪うが、開いた扉から城内へと攻め込んだのは蒙恬の楽華隊だった。そして楽華隊による電光石火の早業で秦国軍は城を陥落させる。ところが、その奪い取った城では秦国軍兵士による魏国の民への凌辱行為が行われ始めていた。戦がきれいごとだけではないと知りつつ、そのあまりに悲惨な状況を目にした信は激高し、相手が秦兵にも関わらず剣を向ける。
第14話『その男、廉頗』
かつて趙国三大天の一人として天下を恐れさせ、秦国六大将軍とも互角の戦いを繰り広げた廉頗大将軍。しかし、時の趙国王の命に背いた事で国を追われ、魏国へと亡命する事となった廉頗は、それから一度も軍を率いる事はなかった。しかしこの度、魏国王の命により国に攻め入ってきた秦国軍を討つべく再び戦場に立つ事になったのである。そして大戦を前に、廉頗と共に死線を潜り抜けてきた四天王の一人・輪虎が密かに動き出す。
第15話『武将の空気』
秦国軍は魏国侵攻後、三つ目の城となる近利関も落とし、その戦いの中で飛信隊も敵将を討つ武功を上げる。しかし、喜びに沸いていたのも束の間、廉頗四天王・輪虎の暗躍によって秦国軍の千人将が次々と斬られていく。事の深刻さを感じた秦国軍は警備を強化するも輪虎を捕える事はできなかった。そして次の日、近利関を出立した秦国軍に再び輪虎が襲い掛かる。その殺気に対峙した者たちは怯んでしまうが、信は真っ向から斬りかかる。
第16話『真夜中の大将軍』
魏国に名だたる武将はおらず、亡命した廉頗も軍を率いる事はないと考えられていた。しかし、その廉頗が出陣した事が秦国軍に伝えられると、思わぬ大人物の登場に一同は焦りを隠せないでいた。しかし、総大将・蒙驁は柔和な笑みを浮かべたまま動じる様子はない。だが実は、蒙驁は若き頃、幾度となく廉頗と戦い一度も勝った事がないという過去を持っていた。その夜、不思議な癖を持つ蒙驁は、老人歩兵に化け陣内をこっそり徘徊する。
第17話『開戦前夜』
輪虎の手により多数の千人将を失った秦国軍は、急遽、現在の三百人将の中から二名を千人将へと昇格させるという。一同が注目する中、選ばれたのは玉鳳隊・王賁と楽華隊・蒙恬だった。その結果に信は悔しさを隠せないが、どうすることもできなかった。ところが、総大将・蒙驁の推挙により、信も臨時ではあるが千人将へと昇格を果たすこととなる。そして、新しく加わった仲間と共に千人隊となった飛信隊は、信の檄で心を一つにする。
第18話『激突!』
決戦の地・流尹平野へと到着した両軍。此度の戦で蒙驁軍の副将を務める二人の武将、桓騎と王翦、この二人を率いた蒙驁は穏やかな中にも決意を秘め、長年の敵である廉頗に挑む。対する廉頗も共に熾烈な戦場を戦い抜いてきた四天王を従え、激突の刻を待つ。その顔には余裕の笑みを浮かべ自信と闘志が満ち溢れていた。そして両軍の陣形が整うと、今、ついにその第一陣が激突する。
第19話『玄峰の奇策』
戦の序盤、勢いで勝っていた秦国軍だが、時と共に第一陣として突撃した急造の千人隊は統率がとれず敵に押し込まれていく。それは玉鳳隊も同様であり、その隙を狙った輪虎が王賁に襲い掛かる。王賁は怯むことなく輪虎に果敢に打ち込むが捕えることはできない。第一陣の苦戦を見た秦国軍は第二陣を送り込むも、やはり急造の千人隊は次々と崩されてしまう。しかし、その中で飛信隊だけは怒涛の攻撃をみせる。
第20話『飛信隊逆襲』
飛信隊の活躍により一時は勢いを取り戻したかに見えた秦国軍。しかし魏国の第二陣を率いる廉頗四天王の一人・玄峰の策により辺り一面が煙に覆われると、突然の事に混乱する秦国軍は敵の弓兵に為す術もなく、さらに煙の中から現れた装甲戦車に蹂躙されていく。そんな中で唯一飛信隊は敵の策を見抜いて逆に攪乱し、さらにこの状況を打開すべく強行突破で敵本陣へと迫る。だが、玄峰はその反撃に気付きながらも悠然と待ち構えていた。
第21話『盗賊対軍略家』
敵の策に翻弄される秦国軍の中で反撃に出た飛信隊と玉鳳隊だったが、秦国軍を壊滅させた玄峰は早々と退却してしまい、秦国軍は大敗を喫してしまった。一方その頃、秦国軍の副将・桓騎が廉頗四天王の一人・介子坊と交戦していたが、桓騎の奇襲攻撃に正攻法を得意とする介子坊は苦しめられ、やむなく玄峰と将を交代することに。玄峰は隠されていた桓騎本陣を言い当て潰しにかかる。ところが、そんな玄峰の本陣に桓騎が姿を現した。
第22話『蒙恬の提案』
秦国軍副将・桓騎が敵将・玄峰を討ち取ったという報告が秦国軍に届いてきた。その報告を聞いた信は桓騎に続き敵将・輪虎を討ち取ろうと改めて闘志を燃やす。しかし、蒙恬は今の戦い方では到底太刀打ち出来ないと語る。なぜなら輪虎はかつて秦国六大将軍の一人・王騎に一太刀浴びせたこともある強者であり、此度の戦ではまだ本気を出していないというのだ。その輪虎を倒すため、蒙恬は信と王賁にある提案をする。
第23話『三隊共闘』
魏国軍の猛攻の中、秦国中央軍は守備に徹した戦いを進めるが、その中で蒙恬率いる楽華隊が独断で遊軍と化し、単独、前へと出る。その動きに敵も味方も驚く中、信と王賁だけは戦況を見つめたまま合図を待つ。これこそが三隊で輪虎を討つために、前日、蒙恬から提案された作戦であったのだ。そのまま楽華隊は輪虎本陣に突撃するが、その前には屈強な輪虎兵が立ちはだかった。
第24話『越えるべき壁』
狙い通り、輪虎兵を次々と討ち取っていく楽華隊。そして、蒙恬の合図を受け取った飛信隊と玉鳳隊が輪虎本陣へと攻め入った。だが、輪虎は動じる事無く、逆に輪虎の猛攻に王賁は反撃する事が出来ず、信もまた深手を負ってしまう。一方、左軍では敵に押し込まれ本陣が後退する中、唯一、壁はその場に留まって奮戦していた。ところがそこへ、本陣とともに退いていたはずの秦国軍副将・王翦が現れる。
第25話『裏の裏』
王翦将軍の命により五千の兵を率いる将となった壁は、その軍を率いて廉頗四天王の一人・姜燕の迎撃に向かう。敵を討つのに絶好の地形に姜燕軍を追い込んだ壁。その圧倒的有利な状況で姜燕を討ち取ろうとするも、しかし新たな敵軍の出現によって逆に窮地に追い込まれてしまう。実はこれまでの優位は、全て姜燕の罠だったのだ。絶体絶命の壁!しかし、そんな中、突如現れたのは、壁に燕姜の迎撃を命じたはずの王翦その人であった。
第26話『将の器』
姜燕軍を追い詰めた王翦軍だったが、その行動すら読んでいた廉頗が自軍を率いて姿を現した。伝説の大将軍・廉頗の登場に士気が上がった魏国軍は、凄まじい勢いで襲い掛かろうとする。その状況を見ていた王翦は、しかしあっさりと自軍の砦に撤退してしまうのだった。一方、死闘を繰り広げていた信は輪虎に痛烈な一撃を撃ち込むも、討ち取る事叶わず退却を余儀なくされる。そして、自陣にて戦いの傷を癒しながらも、各々は決戦が近づいている事を感じていた。
第27話『決着の刻』
流尹平野での戦いが始まって六日目、前日の死闘の傷も癒え、信は決戦の刻を待っていた。しかし、この日の飛信隊は後方支援として待機することを命令される。不満がる信だったが、これも実は輪虎に当たりやすいようにと栄備将軍が配慮しての事だった。改めて闘志を燃やす信。そしてまた戦いが始まり、今回も守備に徹した戦いを行う秦国中央軍に対し、輪虎はかの王騎軍の守備すらも貫いたという特殊な戦術を仕掛けてきた。
第28話『最後の策』
中央軍同士の激しい戦いと時を同じくして、蒙驁本陣では背後に廉頗が自軍を率いて現れた。側近たちが廉頗の登場にうろたえる中、しかし蒙驁だけは動じることは無かった。本陣に攻め込んでくる廉頗に対し、蒙驁は長年にわたり練り上げて来た布陣で立ち向かう。一方、中央では秦国軍の陣形を輪虎が圧倒的な破壊力で突破してくる。ところが、その進撃を止めたのは、隊を分離して突撃してきた飛信隊であり、そして信は、再び輪虎と対峙するのだった。
第29話『一瞬』
蒙驁のしいた布陣をことごとくかわし、頂上へ向かって駆け上がって来る廉頗。もはや廉頗の突入は時間の問題であった。その頃中央では、輪虎が前日の左腕の負傷にもかかわらず、信の足に深手を負わせていた。だが、信はその傷の深さにも関わらず驚異的な精神力で立ち上がるのだ。二人の戦いは激しさを増し、そして周りの者は手が出せず一騎打ちの様相を呈してくる。そんな中、その二人の間に、割って入ろうとする者がいた。
第30話『大事な仲間』
信は自分への注意がそれた一瞬の隙を付いて輪虎を斬り伏せた。その一刀に手ごたえを感じるも、輪虎は再び立ち上がる。ボロボロになりながら、しかし輪虎は廉頗のために負けるわけにはいかないと語るのだ。同じ頃、飛信隊の負傷兵を率い持ち場で待機していた羌瘣の前に凄まじい破壊力を持った巨体の騎馬隊が突撃してきていた。自身も深い傷を負っていた羌瘣は一瞬躊躇するも、飛信隊副長として仲間の為立ち向かうのだった。
第31話『蒙驁、退かず』
信と輪虎の一騎打ちは激戦の末、信が勝利した。激闘を終えた信は、残してきた羌瘣の無事を確認すると、休む間もなく敵軍が迫る秦国本陣へと急ぐ。その本陣では、ついに敵将・廉頗が陣内へと攻め込んで来ていた。圧倒的な威圧感を放つ廉頗を前に兵士たちが恐怖で動けなくなる中、蒙驁はただ一人、前へと進み出る。そして40年間の熱き想いを武器に、蒙驁は廉頗に一騎打ちを挑むのだった。
第32話『色褪せぬ時代』
廉頗に一騎打ちを挑んだ蒙驁だったが、廉頗の圧倒的な武力の前にその矛は届かず、重傷を負わされてしまう。そこに駆けつけてきた信もそんな二人を前に息をのむ。しかし、その後の廉頗の、大将軍・王騎を侮蔑するような発言に、信はたまらず怒声を上げ、真っ向から廉頗に立ち向かうのだった。その信に向かい、歩を進める廉頗。一方、魏国本陣には行方を眩ませていた桓騎軍が攻め込み、魏国総大将・白亀西を捕えていた。
第33話『勝利…そして』
桓騎が魏国軍総大将・白亀西を討ち取ったとの報に、秦国軍本陣に攻め込んできていた介子坊は、戦を五分に持ち込むべく秦国軍総大将・蒙驁を討ち取ろうとする。しかし、戦が詰んでいることを感じた廉頗は介子坊を制し、蒙驁に和睦を申し入れる。この瞬間、秦国軍の勝利が決定した!そして改めて廉頗と向かい合った信は、廉頗より大将軍の条件を突きつけられ、決意を新たにする。一方羌瘣は、今回の戦いを機に飛信隊を離れ、一人旅立とうとしていた。
第34話『軍師の到着』
山陽の戦いで勝利を収めた秦国。そして、この戦で武功を上げた信は正式に千人将に昇格する。新生飛信隊は勢いそのままに新たな戦場へと繰り出すが、そこから連戦連敗を重ねてしまう。実は、今まで作戦立案を行っていた羌瘣が抜けた事で、これまでの様に隊が機能しなくなっていたのだ。それを見かねた蒙恬の紹介により、飛信隊に新たな軍師が加入する事となったのだが、今まで戦場を共にしていないよそ者の加入に信達は大きな拒絶反応を示すのだった。
第35話『試練と覚悟』
連戦連敗を重ねる飛信隊に新たに軍師としてやってきたのは、なんとあの河了貂であった。しかし、やはり隊内の者から新参者の指示には従えないと拒絶されてしまう。だが、そうなることを十分に理解していた貂は怯む事なく彼らと向き合い、戦場に留まる覚悟を語る。信は貂の決意を真剣に受け止めながらも戦いへの口出しは認めなかった。しかし、その後も状況は好転せず、更なる苦境に立たされた飛信隊の中、ついに河了貂が指揮をとる。
第36話『上を行く』
指揮を任された河了貂の機転により、飛信隊は迫る魏国軍を見事にかわし、隊の立て直しに成功する。この今までと違う動きに違和感を感じた敵軍師は、飛信隊への新たな参謀役の加入を確信し、その力量を測る為の策を仕掛るのだった。だが、貂の指示により飛信隊は圧倒的優勢の状況を作り出し、混乱した敵先鋒隊を一気に葬り去る。対する敵軍師は慌てることなく次なる一手を繰り出すが、それすらも上回る貂の作戦により飛信隊はついに勝利を収めるのだった。
第37話『遠雷』
河了貂の活躍により本来をも上回る力を得た飛信隊は、その後も次々と敵を撃破。そんな彼らの活躍もあり、新たな土地の平定に成功した秦国は、「山陽東郡宣言」つまり領土拡大の為の宣戦布告を行った。この秦国の動きを注視していた李牧は大軍を興し、なぜか燕軍との戦に動き出す。一方、咸陽では呂不韋が「相国」という地位に座り、さらなる権力を握ろうとしていた。そんな呂陣営の勢力拡大に対抗すべく、政は意を決しある場所へと向かう。
第38話『謀略の舞台』
かつて反乱を起こし幽閉されていた成蟜と対面した政は、成蟜とその一派を解放する代わりに呂陣営の勢力に対抗する為の協力を要求する。成蟜も、政に対する以上につのる呂不韋への不満から、その取り引きに応じるのだった。一方飛信隊は、東の前線基地・東金城へと向かう途中、ふとした事から韓軍に攻め込まれていた徐という国を救出する。それにより、当初の行軍予定とは別の道を進む事となるのだが、その最中、数千の兵を率いた李牧と遭遇する。
第39話(最終回)『新たなる伝説』
猛威をふるう呂不韋に対し、成蟜と手を組んだ政陣営はその力により勢いを盛り返し、王宮内での発言権を持つ左丞相に昌文君を据える事に成功し、秦国の掌握、さらには中国統一への足掛りを得る。一方、李牧と相対した信は、その際の李牧の言動から、今後中国全土に更なる嵐がおこるであろう事を予感するも、それを乗り切る為決意を新たにする。中国統一を目指す政と、天下の大将軍を目指す信。二人の目は、それぞれの道をしっかりと見据えていた。