第1話『偽りの平和』
ザフトと連合の開戦から11ヵ月余りが過ぎた。 L5に浮かぶ中立国オーブの資源衛星ヘリオポリス。そこの工業カレッジに通う学生キラ・ヤマトは、いつものようにゼミを訪れ、そこでコロニーに侵入したザフト軍によるガンダム奪取作戦に遭遇する。 工場各所で起こる爆発と、プラント内に侵入してくるMSジンにより混乱に陥るヘリオポリス。奇襲は成功し、秘密裏に建造されていた連合初のMS・ガンダムは5機のうち3機までがザフトの手に落ちた。 避難場所を探していたキラは、逃げ遅れた一人の少女を追って工場区画に迷い込み、そこで偶然に残る2機のガンダムを目撃する。なぜか、それを見て絶叫する少女。キラは何とか彼女を避難させるが、キラ自身の行く場がない。 居合わせていた連合士官マリュー・ラミアスは、彼を残されていたMS・ストライクの中へ案内しようとする。が、そこにザフト兵の襲撃が!…それはかつてのキラの親友、アスラン・ザラだったのだ。
第2話『その名はガンダム』
巻き上がる炎の中、アスランは残されたMSイージスを奪取し、脱出する。キラとマリューもストライクに乗り込んだ。吹き飛ぶ工場から、からくも脱出するストライク。しかしそこにはザフトのMSジンが待ち受けていた! 負傷したうえ、パイロットですらないマリューに、ガンダムを操る事はできない。絶体絶命のピンチに陥った時、キラが操縦を代わった。凄まじい早さでガンダムのOSを修正するキラ。潜在能力を解放されたストライクは、圧倒的な力でジンを撃破した。難を逃れたキラと友人たちだが、軍の機密を知ったとして、彼らはマリューに拘束される。反発するも従わざるを得ない。 同じ頃、ジンの破壊を受けラウも行動を起こす。それを察知したムウもヘリオポリスへ。戦場で出会った2機は交戦しながら、コロニー内部に突入した。 一方、爆破された鉱山区に閉じ込められたナタルたちは、残された数人とアークエンジェルを起動させる。不気味な鳴動を始めたヘリオポリス。その中で、ラウの操るMSシグーとストライクガンダムの戦いが始まった。百戦錬磨のラウに翻弄されるキラ。ムウも援護をするが形勢は変わらない。あわや、というその時、岩壁を突き破りアークエンジェルがその威容を現した!
第3話『崩壊の大地』
キラたちに襲いかかる、ラウの操るMSシグー。その時彼らの前に、アークエンジェルが姿を現す。戦闘の最中ラウを狙ったストライクガンダムは、コロニーに穴を開けてしまう。その威力に呆然とする一同。形勢不利とみたラウは一時離脱していく。 アークエンジェルに着艦したキラたち。ガンダムを動かしたのが子供だという事実に驚く兵士たちだが、ムウはキラがコーディネイターであることを見抜く。 一方、艦に戻ったラウはガンダムの性能に脅威を感じ、再び攻撃を決断する。出撃を許可されなかったアスランだが、無断でイージスガンダムに乗りキラの元へ向かう。 キラがOSを書き換えたガンダムは、彼以外には扱えない。操縦を拒むキラだが、敵の接近に出撃を余儀なくされる。 再び始まった戦闘は徐々にコロニーを傷つけていく。キラはミゲルのジンを撃墜。そしてイージスガンダムに乗るアスランと再び戦場で相まみえる。敵対するお互いの立場に戸惑う二人の少年。一方、彼らの周囲で続く戦闘は更に激化。損傷が決定的となったヘリオポリスは崩壊を始めた。
第4話『サイレントラン』
キラは、崩壊したヘリオポリスの宙域から、救命ボートと共にアークエンジェルに帰艦する。そのボートにはフレイも乗船していた。アークエンジェルは、友軍の軍事衛星アルテミスに進路を取る。一度、ア-クエンジェルを見失ったラウではあったが、その行動を予想し、進路の前後を抑える作戦を立てていた。 帰艦後トールたちと避難民居住区にいたキラだが、ムウからガンダムの整備を言われたことに対し、自分はパイロットではないと反発する。 一方、アスランは前回の出撃をラウに問い質された際、友人であるキラを説得したい意向を伝えると共に、無理な場合は自らの手で討つことも誓う。 ラウの作戦通り、アークエンジェルは前後を挟まれる。戦闘配備が鳴り響く中、キラの負担を気遣うトールたちは、自ら艦の作業に志願する。一人悩むキラだったが、ムウの言葉や友人たちの行動に動かされ、再びガンダムに乗る決意をする。 エンジン始動と共にアークエンジェルの特装砲が轟く。それを合図にしたかのように、敵艦からはMS隊が放たれた。 カタパルトの上でキラは叫ぶ。「キラ・ヤマト。ガンダム行きます!」と。
第5話『フェイズシフトダウン』
出撃したストライクの前に立ちはだかる、奪われた4機のガンダム。ザフト軍は、奪取した全てのガンダムを投入してきたのだ! 戦場で再び出会うキラとアスラン。二人の間に割りこむデュエルガンダム。さらにバスター、ブリッツガンダムも合流し、戦闘は混乱を極める。 一方、先行して出撃したムウのメビウス〈ゼロ〉は戦艦ヴェサリウスを奇襲。不意を突かれたヴェサリウスは離脱を余儀なくされる。だが、かさに懸かるイザークとディアッカは、撤退命令を無視してキラに攻撃を続ける。不慣れな戦闘でエネルギーを消費したストライクガンダムは、ついにフェイズシフト装甲を解除してしまう。絶対絶命の危機! その時、MA形態のイージスガンダムが、キラを連れ去った。ザフトへキラを連れて行こうとするアスラン、抵抗するも身動きの取れないキラ。その時、割って入ったムウの援護によりエネルギーパックを換装したキラは、辛くもイザークたちを退ける。 危機を脱し、無事に地球連合の要塞アルテミスへ到着したアークエンジェル。だが、そこには別の危機が、待ち構えていた…。
第6話『消えるガンダム』
辛くもザフトの追撃を振り切ったアークエンジェルは、軍事要塞「アルテミス」に逃げ込んだ。しかし、そこで待ち受けていたのは味方兵士の銃口だった。要塞司令官ガルシアによって軟禁されるアークエンジェルのクルーたち。 同じ地球連合ではあるが、マリューたちが所属するのは「大西洋連邦」。アルテミスは「ユーラシア連邦」の要塞である。決して一枚岩ではない連合の性だった。ガルシアは、あわよくばアークエンジェルとガンダムを手に入れ、それを手土産にユーラシア本土への復帰を企てたのである。ガルシアは友人たちを盾に、ロックされたガンダムの解除をキラに迫る。 同じ頃、アルテミスを遠巻きに見るガモフ艦の中で動きがあった。アルテミスは「全方位光波防御帯」という特殊な防御兵器を擁し、敵の攻撃を悉く退けていたのである。 だが、ブリッツガンダムの「ミラージュ・コロイド」(機体をステルス化する)はそれを突破する事を可能にした。突如攻撃を受けるアルテミス。光波防御帯に絶対の自信を持っていた兵士たちの規律は緩みきり、予想外の事態に浮き足立ってしまう。その隙に抜け出したキラはストライクに戻り、突入してきたブリッツを迎え撃つ! さらに外では、デュエルとバスターがアルテミスを攻撃。ストライクとブリッツの戦闘は要塞の破壊で水入りになり、キラは脱出したアークエンジェルと共に、崩壊した無敵要塞を後にする。
第7話『宇宙の傷跡』
ザフトの攻撃を利用し、要塞・アルテミスを脱出したアークエンジェルではあったが、艦内の物資の欠乏が深刻な状況になっていた。募る不安に一計を案じたムウは、遺棄された艦船等から物資を得るためにデブリ帯へ艦を向かわせる。そこには「血のバレンタイン」で壊滅したプラント・ユニウスセブンもあった。プラントに帰還したラウは、最高評議会の査問会で「ヘリオポリス崩壊」の経緯を説明するために出廷していた。その席でラウと、裏で繋がるプラント国防委員長パトリック・ザラは、その場の空気を打倒ナチュラルへと誘導して行く。一方、ユニウスセブンの残骸で物資の搬入作業を続けるトールたちは、漂う大陸の残骸に、戦争の現実をまざまざと見せつけられる。ここで哨戒に当っていたキラは偵察型のジンと遭遇。進路の先には搬入現場が! キラの願いも空しくジンはトールたちを発見してしまう。 すんでのところでジンを撃破したストライクではあるが、キラは初めて自らの手で生命を奪うことの重さを知る。そしてその現場で発見した救命ポットの乗員ラクス・クライン。運命の出会いはハロと共に舞い降りた。
第8話『敵軍の歌姫』
デブリ帯で救助した救命ポットの乗員は、少女と小さなロボットだった。ラクス・クラインとハロ…彼女は現プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの娘である。「血のバレンタイン」の悲劇追悼一周年式典に出席するために、彼女は慰問団の団長としてここへ来ていたのだった。天真爛漫な彼女は、緊迫していたアークエンジェル内に奇妙な安らぎをもたらす。ただ1人、コーディネイターを生理的に拒絶するフレイ・アルスターを除いて…。 同じ頃、ヴェサリウス改修の間、帰宅していたアスランに召集がかかる。それは許婚でもあるラクス・クラインの捜索命令であった。彼女を救出し、ヒーローとしてプラントへ戻ることを、アスランは義務づけられたのだ。 一方、ラクスの処遇をめぐって、アークエンジェル内部も紛糾する。そこヘ飛びこんだ通信。待ちに待っていた第8艦隊先遣隊からの救援信号だった。朗報に艦内は明るさ取り戻す。だが、その救援艦隊にもザフト艦・ヴェサリウスが迫りつつあった…。
第9話『消えていく光』
ついに待望の救援が来る。アークエンジェル艦内に束の間、和んだ空気が流れていた。合流するのは第8艦隊・先遣隊モントゴメリ、バーナード、ローの3艦。モントゴメリにはフレイの父、地球連合外務次官ジョージ・アルスターも乗艦していた。だが、ザフトの牙が艦隊に襲いかかった。急を受け、援護に駆け付けたアークエンジェルが見たのは、イージスガンダムの手により、瞬く間に撃沈させられるバーナードとローであった。ストライクガンダムで出撃したキラの前に、立ち塞がるアスラン。互いに譲らぬ両雄。モントゴメリに迫るザフト艦・ヴェサリウス父の生命が危ない! その光景を目の当りにしたフレイは、軟禁状態にあったプラント評議会議長の息女ラクス・クラインをブリッジに引きずり出し、彼女の生命と引き換えにモントゴメリの安全をザフトに要求しようとする。しかし、その願いも空しく、モントゴメリはフレイの目の前でヴェサリウスの砲火に沈んでしまう。響き渡るフレイの絶叫! 意を決したナタルはラクスを人質に、ヴェサリウスの攻撃を停止させた。
第10話『分たれた道』
ラクス・クラインを人質に、ザフト艦ヴェサリウスからの攻撃を止めたアークエンジェルではあったが、眼前での救援艦隊全滅のショックは大きかった。特に父を殺されたフレイは半狂乱になり、キラに激情をぶつける。「アンタ、自分もコーディネイターだから本気で戦ってないんでしょう!?」 打ちひしがれるキラ。だが、その悄然とした背に声を掛けたのは、軟禁されているはずのザフトの歌姫ラクスであった。ラクスはキラの親友、アスランを知っていた。それどころか彼女は、彼の許婚であったのだ。在りし日の親友を回顧するキラ。そして今は互いに刃を交している。彼女は優しく静かに言った。「お2人が戦わないで済むようになれば……いいですわね」 逡巡の末、キラはラクスをアスランのもとに帰すことを決意し、友人たちの手を借りて無断でストライクを発進させる。4度会いまみえるストライクとイージス、キラとアスラン。ラクスはアスランの手に渡り、キラは親友の呼びかけに背を向ける。運命は分かれた。2人の本当の決別であった。
第11話『目覚める刃』
約束通り、キラは艦に戻って来た。ラクスを無断でザフトに帰した問題も、マリューの粋な計らいで不問に処される。 眼の前での先遣隊壊滅にショックを受けたトールたちだったが、それでも間もなく戦争から開放される安堵の方が大きかった…ただ一人、フレイを除いて。追い討をちかけるかのように、父の命を奪ったイージスのパイロットがキラのかっての親友だったことを、話を立ち聞きしていたカズイから、フレイは告げられてしまう。 だが、友人たちの前に現れた彼女は、なぜか謝罪の言葉を告げる。意外な言葉に戸惑うキラ。その時鳴り響く警報。ザフト軍のガンダム3機が、艦隊と合流前に最後のアタックを仕掛けて来たのだ! 「私たちを守って」という難民の少女とフレイの言葉に見送られ、戦場へ向かうキラ。 アークエンジェルの戦闘パターンを読んだザフトの攻撃は熾烈を極め、ついにストライクとメビウス〈ゼロ〉を振り切ったブリッツが、アークエンジェルに肉迫する。絶対絶命の危機! その時、キラの中で何かが起きた! 鎧袖一触でデュエルを退るストライク。イザークが負傷したため残る2機も後退した。
第12話『フレイの選択』
ついに地球連合第8艦隊と合流を果たしたアークエンジェル。 慌しさの中、名残を惜しむかのようにストライクの整備に勤しむキラに、マリューは今までの礼を告げる。旗艦メネラオスからは艦隊指令ハルバートン提督自らがアークエンジェルへ乗艦して来た。彼こそ「G」計画の第一の推進者なのだった。彼を交えた会議で、アークエンジェルは連合の地球本部であるアラスカへ向かう事が告げられる。さらに、その席ではキラの処遇についても紛糾する。彼をそのままストライクに留める事を強行に主張するナタル。だがそれはハルバートンの一喝で却下された。 便宜上軍籍に入れられていたサイたちは、ナタルにより除隊許可証を渡される。だが、その席でフレイが軍に志願してしまう。戦死した父の遺志を継ぎ、戦争を終わらせるために働きたいというのだ。友人たちも、なかば乗せられる形で軍に志願することに。脱出用ランチに乗り込む避難民たちを見送るキラは、友人たちに除隊許可証を渡され、彼らが軍人になったことを知る。その時、なり響く警報。戦力を整えたラウの艦隊が総力戦をしかけて来たのだ。キラの脳裏に浮かぶマリュー、ハルバートン、そして避難民の少女の言葉。ストライクへと走り出すキラの後には、捨てられた許可証があった。
第13話『宇宙(そら)に降る星』
地球軌道上での、第8艦隊とザフト軍の壮絶な会戦は幕を切って落とされた。数で勝る地球連合軍であったが、ジンを擁し、さらに4機のガンダムまで繰り出したクルーゼ隊の前に次々と沈められていく。 激戦の最中、アークエンジェルは地上への緊急降下を申し出る。敵前逃亡ではない、標的であるアークエンジェルがオトリになり、艦隊の全滅を阻止しようと言うのだ。艦を守るため、決意を新たに出撃したキラ。だがその前に、復讐鬼と化したイザークのデュエルガンダムアサルトシュラウドが立ちはだかる。降下へのカウントダウンが続き、突入限界点が迫る中で、ザフト艦ガモフは捨身の猛攻を仕掛ける。その危機に、ハルバートン提督は旗艦メラネオスでガモフと相打ちを敢行、宇宙へと散った。 だがその闘いの間隙を縫って発進した避難民の乗るシャトルが、怒りに燃えるイザークによって撃ち抜かれる! 守り続けた避難民たちはキラの眼前で、命を落としてしまう…。地球への降下に成功したアークエンジェルだが、その代償は第8艦隊を犠牲にするという、あまりに大きなものだった。
第14話(総集編)『果てしなき時の中で』
第8艦隊との軌道上会戦前夜、戦艦ヴェサリウスの私室でラウは述懐する。ヘリオポリス襲撃から現在までを。そして「血のバレンタイン」の悲劇から、今日までの激動の軌跡を。 穏健派と強硬派の間で大きく揺れていたプラント最高評議会の趨勢も、ヘリオポリスでガンダムを奪取したことにより、大きく強硬派へと傾いている…。 そもそも、すべては一人の男から始まった。ジョージ・グレン。彼こそが遺伝子操作を受けて誕生した人間、即ちファースト・コーディネイターだった。フットボールのスーパースター、オリンピックの金メダリストにして空軍のエースパイロット、そして航空宇宙工学の権威…。天才的な業績を上げた彼は、自ら設計した木星探査船で深宇宙へ旅立ち、その途上で自らがコーディネイターであることを、人類にもたらす至福をメッセージに託し、明らかにした。 やがて彼は、彼自身の手によってもたらされた、コーディネイターとナチュラルとの軋轢の中で生命を落とすのだった。一大決戦を前にラウが想うのは、2つの人類の行く末なのか、あるいは…?
第15話『それぞれの孤独』
大気圏突入時の、デュエルとの戦闘でストライクを救うために、アークエンジェルは本来の軌道を大きく外れ、ザフト勢力圏であるアフリカに降下してしまった。 救助されたキラではあったが、受けたダメージは大きく、高熱に倒れてしまう。そのキラを献身的に看病したのは、意外にもフレイであった。間もなくコーディネイターである彼は、驚異的な快復を見せ始めた。 しかし、フレイが持ち込んだ小さな折り紙を見たとき、キラは恐慌状態に陥ってしまう。それはシャトルで脱出し、キラの眼前で命を落とした少女が、彼に贈ったものだったのだ。狂乱するキラを、慈母のごとく優しく慰めるフレイ。傷ついた二人の距離が縮まる。だが、彼女には別の思惑があった。キラは戦って、戦って、そして死ぬ…と呟くフレイ。彼女の心の奥底にあったのは、キラへの思慕ではなく、復讐の暗い炎だったのだ。 一方、砂漠に降下したアークエンジェルを見つめる、ゲリラの一団があった。その中にいる一人の少女カガリ・ユラ・アスハ…それはかつて、キラがヘリオポリスの戦火の中で出会った、あの少女だったのだ…。
第16話『燃える砂塵』
北アフリカの砂漠に着陸したアークエンジェル。そこへ息をつく暇もなく、ザフト軍が夜襲をかけてきた。「砂漠の虎」の異名をとる猛将アンドリュー・バルトフェルト率いる精鋭地上部隊だった。 もう、誰も死なせない! 戦いにはやる気持ちを抑えなれないキラは、闇の中を出撃する。だが、慣れない砂漠での闘いに足をとられ、姿勢すらまともに制御できない。そこへ4足歩行MSバクゥが襲いかかる。だが、キラのコーディネイターとしての戦闘能力は卓越していた。砂漠の環境に合わせて接地圧を調整し、データを素早く書き換えるキラ。バルトフェルドはその素早さに、舌を巻いた。 「砂漠の虎」の旗艦レセップスから、主砲による砲撃が加わる。バルトフェルドも、本気を出してきたのだ。だがその時、謎の通信がキラのもとへ入った。指示に従い、砂漠の地下洞へバクゥをおびき寄せて、一気に撃退するという奇策は大成功する。 キラたちを救ったのは、カガリ・ユラ・アスハ率いるゲリラたち…「砂漠の虎」に対抗するレジスタンス部隊「明けの砂漠」だった。
第17話『カガリ再び』
レジスタンス「明けの砂漠」の助けを借り、辛くもバルトフェルド率いるバクゥ部隊の猛攻を退けたストライク。 夜明けを待ちアークエンジェルと合流した「明けの砂漠」メンバーの中に、ヘリオポリス襲撃の際に出会った少女、カガリ・ユラ・アスハの姿を認め、互いに驚くキラたち。 レジスタンスのリーダー・サイーブによりアジトに案内されたマリューたちは、そこでアフリカにおける連合の拠点「ビクトリア基地」が陥落したことを知る。これにより、アークエンジェルは紅海を抜け、太平洋からアラスカを目指すルートを取るしかなくなった。だがそのルートには「砂漠の虎」バルトフェルドと地上空母レセップスが立ち塞がる。 同じ頃、バルトフェルドは「明けの砂漠」に対する報復攻撃の準備を進めていた。再び夜になり、しばしの休息を取るアークエンジェルのクルーたち。対レップス戦に向けストライクの調整をしていたキラは、そこでフレイとサイの口論に巻き込まれてしまう。戸惑うキラだが、フレイはキラと深い関係あることを暴露し、逆上したサイに詰め寄られる。そしてキラはついに、今まで押さえていた感情を爆発させてしまう。そんな中、真っ赤に染まる夜空…レジスタンスたちの家族が住む、タッシルの町が燃えていたのだ。
第18話『ペイバック』
バルトフェルドの「砂漠の虎」は、レジスタンスの住む町タッシルを襲った。バクゥから発射されたミサイルで、町は紅蓮の炎に包まれる。だが、あらかじめ攻撃予告があったお陰で死傷者は出ず、彼らは町を焼いただけで引き上げる。 一方、タッシル救援に駆けつけたムウとレジスタンスのメンバーは、敵がすでに退却した後の焼け跡を見て、怒りに震える。この程度の報復で済ませただけ、優しいじゃないか…そう口走ったムウに、レジスタンスたちは激しくは食ってかかる。 結局、復讐に燃える数名のレジスタンスは、無謀にもバギーで追撃。だがMSバクゥと勝負になるはずもない。蹴散らされるレジスタンス部隊…そこに、駆けつけたストライクが割って入った。戦闘中に熱対流パラメータを書き換え、バクゥを撃つキラ。ストライクの実戦データを収集したバクゥ部隊は、形勢不利と見て退却する。 だが、この戦いでカガリは、戦友のアフメドを失い、泣き崩れる。こんな戦い、何の意味もない…というキラに、激しく反発するカガリ。 だが、次の瞬間、キラの平手がカガリの頬に飛んだ。気持ちだけで何が守れる!? キラは、そう叫んで…。
第19話『宿敵の牙』
欠乏する物資の補給ため、ザフト軍の基地のあるバナディーヤの市場に潜入するキラとカガリ。二人は偶然にも、食事中に「砂漠の虎」アンドリュー・バルトフェルドと知り合う。何とも馴れ馴れしいアンドリューに振り回されるキラたち。そんな彼らを、反コーディネイター主義の過激派・ブルーコスモスのゲリラたちが襲撃する! キラたちは助けてもらった礼として、バルトフェルドの屋敷に案内され、カガリはそこで彼の恋人アイシャによって、ドレスに着替えさせられる。妙な歓待に、戸惑う二人。 だがバルトフェルドは、とっくに二人の正体を見抜いていた。銃を突き付け、バルトフェルドはキラに問う。この戦いを、どうやって終わらせればいいと思うのか? 敵を全て滅ぼして終わらせるのか、と。だが、不意に彼は銃を納め、キラたちを解放するのだった。話せて楽しかった、という挨拶と共に。 一方、アークエンジェルでは、格納庫内でサイが勝手にストライクを動かし、騒ぎを引き起こしていた。思うように動かせない自分にうなだれ、嗚咽するサイ。それを見たフレイも薄く涙を滲ませるのであった。
第20話『おだやかな日に』
久し振りに訪れた休日に、アスランはラクスの家に向かうべくエレカを走らせていた。プラントの高級住宅街にあるクライン邸にて、仲むつまじく、おしゃべり楽しむ二人。アスランはラクスから、今もキラがプレゼントしたトリィを大切に持っていると聞き、やるせない気持ちになる。 そんな中、彼らの父親たちはプラント最高評議会で、戦争の継続か共存かの激論を戦わせていた。オペレーション・スピットブレイクを発動させようとする強硬派パトリック・ザラに押されながらも、なおも穏健派のシーゲル・クラインは和平の道を求め、苦悩する。 一方レジスタンス基地にとどまっているアークエンジェルでも「砂漠の虎」突破戦に向けて、ちゃくちゃくと計画が進められていた。仕掛けた地雷原を主戦場として誘い込む作戦に、ムウは予想される犠牲者の多さを気遣うが、レジスタンスたちの決意は固い。 その頃キラは、自分に身を任せようとするフレイを振り切り、部屋を飛び出す。 再び、新たな戦いが始まろうとしていた…。
第21話『砂塵の果て』
ジブラルタル基地にいたイザークとディアッカが、レセップスに合流した。アークエンジェル撃破に向け、兵力は多い方がいい、と戦力増強を受け入れる「砂漠の虎」バルトフェルド。一方アークエンジェルとレジスタンスも、レセップスとの決戦に向けて動き出した。その直後、巨大な爆炎が大地を包んだ。レジスタンスが事前に仕掛けていた地雷原が突破されたのだ。「砂漠の虎」が本気で牙を剥いて来たことを知るレジスタンスたち。 アークエンジェルから、ストライクとスカイグラスパーも出撃し、戦闘は本格化した。 バルトフェルドも自らMSラゴゥを駆って出撃。アークエンジェルは身動きが取れず「明けの砂漠」たちも苦戦する。 状況を打開するためカガリもスカイグラスパーで出撃し、アークエンジェルも主砲ゴットフリートを発射。戦況は一転して、有利に展開する。 キラのストライクは、バルトフェルドのラゴゥと最後の決戦に。勝負はついた、降伏を…と呼びかけるキラを拒絶するバルトフェルド。とどめを刺し、閃光と共に爆発するラゴゥを前に、キラは絶叫するのだった。
第22話『紅に染まる海』
激闘の末にバルトフェルドを倒したストライクとアークエンジェルは、アラスカに向け進路を取る。なぜか「明けの砂漠」のカガリまで、自分は必要だと主張し、強引にアークエンジェルに乗り込んでくることになってしまった。 紅海に入り、これまで緊張を強いられていたアークエンジェルにも、ひとときの休息が訪れていた。潮風を受け、休息を取るクルーたち。 キラをめぐって、カガリとフレイのさや当ても、デッキで繰り広げられる…。 だが、そんな余裕もつかの間、静寂破るかのように、ザフト軍のモラシム隊が空中戦用MSディンと水中用MSグーンを率い、空と海両面からアークエンジェルに攻撃を仕掛ける! バズーカを装備し、水中に入るストライク。初の水中戦に苦戦をしいられるストライクだったが、何とか2機のグーンを撃退する。 一方、宇宙に残っていたクルーゼ隊のアスランとニコルも、アークエンジェル追撃作戦の合流するために、地球に向けて出発するのだった。
第23話『運命の出会い』
アスラン、ニコル、そしてクルーゼが合流し、クルーゼ隊は久々に全員が集結した。ラウはオペレーション・スピットブレイク発動のため身動きの取れない自分に代わって、アークエンジェル追撃の隊長としてアスランを任命する。不満ながらお手並み拝見、と開き直るイザークとディアッカ。 一方、辛くも水中戦を制したを退けたアークエンジェルだったが、執拗に追撃戦を仕掛けるモラシム隊の潜水母艦隊に苦戦する。その最中、カガリ自身もスカイグラスパーを駆り戦いに赴く。アークエンジェルの弱点を察知したモラシム隊は、水中MSゾノを駆り、下から執拗に攻撃。マリューは射線を確保するため、なんと艦を360度バレルロールさせ、ゴットフリートを発射した。これにより、追撃したMSは撃退される。 アスランは、カーペンタリア基地にMS母艦受領のため輸送機で移動中に、被弾したカガリ機と遭遇戦になる。輸送機は墜落し、MSごと輸送機から放出されたアスランと被弾したカガリのスカイグラスパーは、互いに知ることもなく、名もない島に打ち寄せられるのだった。
第24話『二人だけの戦争』
被弾したカガリのスカイグラスパーは、イージスを空輸中の輸送機を撃墜し、そのまま無人島に不時着した。そこで彼女は、輸送機に乗っていたアスランと砂浜で遭遇する。 その頃アークエンジェルではカガリが戻らないため、キラがストライクで捜索に出る。戦闘中の行方不明…実質的には「戦死」を意味するMIA認定をナタルは提案するが、マリューは激しく反発し、捜索継続を命じるのだった。また一方、イザークたちも隊長の行方不明に、捜索を開始する。 島でアスランと遭遇したカガリだったが、挑んで返り討ちにあい、捕らえられてしまう。電波状態が悪く、味方と連絡が取れないまま二人は、一緒に救助を待つことになった。夜になり、お互いの身の上をぎこちなく語りあう二人。だがカガリはアスランが眠った隙を見て、ためらいつつも銃を奪い、構える。だがアスランを撃つに撃てず、銃を暴発させてしまうカガリ。結局彼女は傷ついたアスランに対し、せめてもの償いに手当をするのだった。 やがて明け方、ついに無線は回復、二人はそれぞれの陣営に戻る時が来る。別れ際、初めて二人はお互いの名を名乗るのだった…。
第25話『平和の国』
オーブ近海で、熾烈な戦闘を繰り広げるアークエンジェルとザラ隊の4機のガンダム。中立国オーブを目前にして、ザラ隊の絶妙なコンビネーション攻撃の前に、アークエンジェルは次第に追い詰められいく。 だが、オーブ領海に接近した時、ザフト軍とアークエンジェルは、オーブ軍からの連絡を受ける。アークエンジェルに対し、領海から退去せよという警告だ。 カガリはそれを聞き、インカムでオーブに連絡する。自分はオーブ前代表ウズミ・ナラ・アスハの娘カガリ・ユラ・アスハだ、と。だが、オーブ司令官ティリングは動じない。ついにオーブによる砲撃が開始された…だが、それはアークエンジェルを救助するための偽装攻撃。彼らは、島にある秘密ドックへ収容されるのだ。 オーブの狙いは、実はストライクの持つ実戦データだった。技術供与を条件に、彼らはアークエンジェルクルーを収容したのだ。 一方、オーブを前に手が出せないザラ隊メンバーたちは、アークエンジェルの所在を確かめるべく、潜入を敢行するのだった。
第26話(総集編)『モーメント』
第27話『果てなき輪舞(ロンド)』
オーブのドックでは、戦闘で傷ついたアークエンジェルの修理が進んでいた。モルゲンレーテ社の技術者エリカ・シモンズ。M1アストレイの開発責任者でもある彼女は、アークエンジェルから提出されたデータを分析していた。彼女はこれまでのストライクの戦闘データを解析し、キラ・ヤマトの高い能力値に驚嘆する。 やがて、モルゲンレーテの工場に案内されたキラに、エリカは、自社で開発の遅れているオーブ軍のMS、M1アストレイのサポートOSの開発をキラに依頼する。 驚くキラに、同行してきたカガリは言った。これが平和の国オーブの真の姿、他国を侵略せず、侵略を許さず、干渉しない…その意志を守るための軍事力がこれだ、と。だがカガリは、父ウズミがそれを破り、地球連合に協力してしまったのだ、と非難するのだ。 エリカは、それがカガリの誤解なのだとたしなめつつ、M1アストレイの搭乗員を呼び、訓練風景を見せる。 そのぎこちない動きは、パイロットの未熟さはもとより、OSも開発途上にあることを物語っている。エリカは言う。自分たちのMSも、キラの乗るストライクのように、強化したいのだ、と。
第28話『キラ』
マリューらの計らいで、学生クルーたちはオーブ軍本部で、それぞれの両親と面会することになった。久しぶりに再会した親子はお互いの無事を確認し、喜びに浸る。そんな中、父をなくし面会者のいないフレイ。そしてキラもまた、両親との面会を断る。エリカから依頼があった、M1アストレイのOS開発に忙殺されて…キラはそう言い訳する。 フレイはそれを聞き、溜まっていた思いをキラにぶつけてしまう。自分に同情しているつもりなのか? 哀しいのはキラの方じゃない! 彼女はキラの胸に拳をぶつける。キラはそんなフレイに、応える術がなかった…。 キラの両親は、彼と面会するのを諦め、ウズミに挨拶する。どんな事態になろうと、あの子に真実を明かすことはしない、と謎めいた約束をして。 キラは、ムウに真実を話す。もしいま会ってしまったら、両親に聞いてしまうかも知れない。なぜ、自分をコーディネイターにしたのか、と。その時、ペットのトリィがキラのもとから飛び立った。追いかけたフェンスの向こうには…オーブに潜入していたアスランの姿が。フェンス越しの再会…今の二人には、すれ違うことしかできなかった。
第29話『さだめの楔(くさび)』
修理と補給が終わったアークエンジェルは、オーブから出航準備に入る。一方、アスランたちザラ隊は、オーブ領海の外で、網を張り待ち構えていた。 カガリはアークエンジェルに同行しようとするが、父ウズミの「戦争の根を学べ」という説得により、断念する。オーブ軍艦隊のカモフラージュにより、出航したアークエンジェルだったが、ザラ隊はその偽装をたやすく見破った。オーブ領海から出た途端に、間髪いれず4機のガンダムが攻撃をたたみかかける。アークエンジェルからもキラ、ムウに続き、新たにスカイグラスパーのパイロットになったトールが出撃した。 敵味方入り乱れる激戦の中、砲撃戦用のランチャーから、空中戦用のエールに換装したキラのストライク。アスランのイージスとの戦いは熾烈を極めた。アスランの援護のため、ミラージュコロイドで偽装していたニコルのブリッツが割って入る。そして…ストライクが一閃したソードは、ニコルのコクピットを直撃! ブリッツは、ニコルもろとも爆発、四散した…。
第30話『閃光の刻(とき)』
ザラ隊のブリッツを討ったキラを待っていたのは、マードックや整備兵の賞賛の声だった。拳を握りながら、やりきれない気持ちで聞くキラ。 一方、大切な仲間ニコルを失ったザラ隊は動揺を隠せない。そんな中、アスランは心のどこかで本気で彼と戦えなかった自らの甘さを悔やみ、責めていた。次こそ必ずその手で、とキラを討つことを決意するアスラン。 再びアークエンジェルを捕捉したザラ隊は、復讐の念に燃えて最後の決戦を挑む。ビーム攻撃でアークエンジェルは致命的ダメージを受け、地上へ着艦を余儀なくされた。この危機に、トールもスカイグラスパーで出撃。 ディアッカのバスターは、ついに機能停止し投降する。一方、イージスはストライクへ一騎打ちを敢行。ニコルを殺したキラへの激しい怒りに燃え、アスランは絶叫する。そして、援護に入ったトールのスカイグラスパーを撃破。トールは散った…。 さらに絶叫するキラに片腕を落とされつつも、アスランのイージスはストライクを捕捉。そしてその姿勢のまま、自爆モードへ! コクピットにキラを残し、ストライクとイージスは大音響と共に爆発した…。
第31話『慟哭(どうこく)の空』
ストライクとスカイグラスパー2号機の交信が共に途絶し、アークエンジェル艦内は混乱を極めた。しかも、満身創痍のアークエンジェルに、ザフト軍の追撃の手が迫りつつある。一刻も早く、この現場から離脱せねばならない…行方不明の仲間を残して? マリューはこの危機を、オーブに救援信号を打つという苦肉の策で乗り切った。一方、壊滅的打撃を受けたザフトのザラ隊にも、作戦中止・帰還命令が出てしまう。 オーブの救助隊が現場に到着した時、そこにあるのはストライクの残骸と、無残に破壊されたイージスの破片…。そして彼らは、浜に打ち上げられた赤いパイロットスーツを着たザフト兵、辛うじてイージスから脱出したアスランを収容する。カガリは、意識を取り戻したアスランから戦いの経緯を聞いた。そして彼が、キラを殺したという告白も…。悲しみに我を失い、アスランにむしゃぶりつくカガリ。アスランもまた、自責の念に捕らわれ、カガリに叫ぶしかなかった。敵なんだ…なら、倒すしかないじゃないか、と…。 やがてザフトからアスランの迎えが到着する。カガリはアスランに、大切にしていたハウメアの守り石を渡した。もう誰も死んで欲しくない、という祈りを込めて…。
第32話『約束の地に』
多くのものを失いながら、アラスカの地球連合本部に辿り着いたアークエンジェル。だが基地への下船許可も下りず、艦内待機を命じられる。命からがらたどり着いた本部での仕打ちに、クルーたちは一抹の不安をよぎらせる。 その頃、ザフト軍カーペンタリア基地では、傷ついたアスランがクルーゼから命令を受けていた。アスランは開発中の新型MSのパイロットとして抜擢され、受領のためにプラント本国へ戻るよう命じられたのだった。 一方、キラはプラントのクライン邸で目を覚ます。アスランとの死闘の末に死んだと思っていた自分は、マルキオと名乗る謎の男に助けられ、プラントへ運ばれたのだった。驚き、震えるキラ。そんなキラに優しく微笑み声をかけるラクス。キラは思いのたけを、ラクスに吐露するのであった。 その頃アークエンジェルの捕虜となったディアッカは、トールを失ったミリアリアに、彼氏を失ったのかと軽口を叩き激高させてしまう。なぜこんなヤツが生きているのか、ナイフを突き立て、ディアッカに迫るミリアリア。そして、割って入ったフレイまでもが、ディアッカに銃を放つ。なぜか身を挺してそれを止めたミリアリアは、ようやく自分自身を取り戻すのだった。
第33話『闇の胎動』
ミリアリアとフレイが引き起こした捕虜ディアッカへの暴行は、アークエンジェルでも大問題となった。ナタルはマリューに、捕虜の扱いや銃の管理をめぐり、責任を問う。 そしていよいよ、アラスカ基地ではマリュー、ムウ、ナタルが呼び出され、サザーランド大佐の査問を受けていた。コーディネイターの少年にストライクを操縦させていたことに対し、マリューを厳しく問うサザーランド。執拗に続く査問の中、サザーランドはついに、コーディネイターが存在するからこの世界は混乱するのだ、とまで言い切る。もはやそれは軍人ではなく、理念に凝り固まった者の台詞だった。 その頃ミリアリアは、再びディアッカの独房を訪れていた。気まずそうに、ミリアリアに殺された彼氏のことを尋ねるディアッカ。ぽつり、ぽつりと答えるミリアリア。殺しに来たのならばやればいいだろう、と居直ったように返答するディアッカに、彼女はうつむくのだった。 そして長い査問会の結果、ムウとナタル、そしてフレイに転属命令が下された…。
第34話『まなざしの先』
3人の転属命令で、アークエンジェルを支えてきたクルーに動揺が走る。追討ちをかけるように、アークエンジェルの所属が第8艦隊から、アラスカ本部の守備隊に移行する、という命令が下された。なぜ宇宙艦が地上に配備されるのか…不審がるクルーたち。 一方、ザフト軍は衛星軌道上、地上基地、海中を行く潜水艦などが、ぞくぞく集結を完了しつつあった。最高評議会議長のザラは、戦争の早期終結のため「オペレーション・スピットブレイク」をついに発動させる。そしてこの作戦の真の目標が、当初予定されていたパナマではなくアラスカの地球軍本部であると示されたのだ。 ところが、迎え撃つアラスカ中枢部は、もぬけの殻と化していた。転属命令を無視し、戻ろうとしたムウは、この無人基地に潜入していたラウと遭遇、激しい銃撃戦となる。だがラウは一方的に逃走。偶然に出くわしたフレイを捕虜に取って、基地を脱出した。 クライン邸で療養を続けてきたキラは、アラスカの仲間を守るため、そして戦う意味を見出すため、地球へ戻ることを決意する。ラクスはそんな彼にあるものを渡す。それは「新たなる剣」ザフトが開発した最新鋭のMS・フリーダムだった!
第35話『舞い降りる剣(つるぎ)』
アラスカでは、アークエンジェルがザフト軍と激戦を繰り広げていた。怒涛のごとく迫り来るMS部隊。主力軍をパナマ防衛に向けていた連合軍は、当然のごとく苦戦を強いられる。その頃、軍上層部の作戦により、意図的にアラスカ基地が放棄されたことを知ったムウは、かろうじて無事だった戦闘機に乗り込みアークエンジェルに向かう。戦いは圧倒的なザフト軍が優位に進んだ。 アークエンジェルに着陸したムウは、マリューにアラスカ放棄の真相を告げた。守備軍をオトリにしてザフトを招き入れ、基地深くに設置された超兵器サイクロプス・システムで敵味方もろとも殲滅する作戦なのだ、と。驚愕するマリューは、悩みながらも戦線離脱を決意。だが周囲をザフト軍に囲まれ、脱出の機会を失っていた。ジンに行く手をふさがれ、万事休すのアークエンジェル。だがその眼前に、見たことのないガンダムが翼を広げ、立っていた…キラの乗るフリーダムが到着したのだ。 キラは敵味方、両軍に呼びかけ、戦闘海域からの離脱を呼びかける。そして間もなく、きらめく閃光、大音響と共に、アラスカ基地は灼熱の大火球に呑み込まれ、消滅した…。
第36話『正義の名のもとに』
オペレーション・スピットブレイク失敗の報に、混乱するザフト国防委員会。時を同じくして、ザフト軍が極秘開発した最新鋭MSフリーダムガンダムが奪われたことを知ったザラは、その奪取作戦にラクスが荷担していたことを、本国に呼び寄せたアスランに告げる。ラクスは国家反逆罪で指名手配中であり、二人の婚約も破談になったことを知り、愕然とするアスラン。苛立ちを隠せないザラ議長は、ラクスらフリーダムの奪還とそれ関わった人物すべての排除に当たるよう、命令を下すのだった。 一方、サイクロプス・システムを発動したアラスカでは、アークエンジェルの危機を救ったキラがクルーたちと再会を果たし、喜び合う。しかし、キラの心はラクスとの再会から、この戦争での戦う意味を見出そうとしていた。 同じ頃ハロに導かれるように、廃墟の劇場でラクスと再会したアスランは、そこでキラの生存を知らされる。驚愕の彼に、「あなたは何と戦うのか」と謎めいた問いかけを残し、ラクスは去った。 アスランは受領したMSジャスティスを駆り、再び地球へ戻る。キラと再び、相まみえるために…。
第37話『神のいかずち』
満身創痍のアークエンジェルは、自爆したアラスカ基地から辛くも脱出。その傷ついた船体を修理するため、オーブに進路を向けオノゴロ島に到着した。キラが生きている姿を確認したカガリは、目に涙を溜めながら、思わず彼に飛びつく。そして彼女は、アスランとのことをキラに語るのだった。 だが、そんなオーブにも危機が訪れようとしていた。アラスカを失った地球連合軍は、この戦争の最終局面に備える一方、オーブに中立国という立場を許さず、地球連合への強制的な協力を求めて圧力をかけてきたのだ。 一方その頃、地球連合軍に残された最後のマスドライバーを落とすために、夜明けと共にパナマの大地を、ザフトのMS部隊が埋め尽くした。アラスカの弔い合戦と息巻くザフト軍の兵士たち。そんな彼らに地球連合軍は、量産型MSストライクダガーの大量投入で対抗、戦局は地球軍有利に推移する。だがここで、ザフトは電子兵器を無力化する新兵器・グングニールを投入。一瞬にして地球軍の兵器は機能停止に陥った。復讐に燃えるザフト軍は条約を無視し、投降する兵士たちに発砲する。それはもう戦争ではなく、一方的な虐殺だった…。
第38話『決意の砲火』
地球軍のパナマ基地陥落により、地球連合軍はマスドライバーを失い、宇宙との連絡路を経たれた。地球上に残されたマスドライバーをめぐり、地球連合内で策謀が張りめぐらされる。地球連合を実質的に主導する大西洋連邦は、ブルーコスモスの盟主アズラエルと共に、次なる策をオーブに向けていた。 地球連合からオーブに対する最後通告がなされた。連合による再三の協力要請に拒否を繰り返すオーブに対し、現政権を解体、武装解除を求める内容であり、意に添えないのであればザフト支援国家とみなし、武力で対峙するというものだった。世界を敵と味方だけに二分し、中立を許さないこの通告は、オーブの首長たちを悩ませ、ウズミを激昂させた。その頃、マリューは全クルーに対し、戦うか退艦か、おのおの自身での判断を促す。 刻々と迫り来る時間の中、市民は都市部、軍関係施設周辺から退去し、戦火に備えて防衛態勢に入っていた。そして、時間と共に戦いの火蓋が切って落とされるのだった。
第39話『アスラン』
地球連合軍の最新鋭のガンダム3機と交戦するキラとフリーダム。そんなキラの前に現れたのが、アスランの乗るジャスティスだった。敵か味方か判らぬMSの登場に、戦場に緊張が走る。だが、彼はザフトとしてではなく、自らの意思でキラを援護し始めたのだ。そしてフリーダムとジャスティスは、初めてとは思えぬ絶妙なコンビネーションで3機を圧倒していく。パイロットの薬が切れ、不意に退却する連合のガンダム3機。 しかし、その頃オノゴロ島近海では、地球連合軍が大攻勢を開始、すさまじい数の量産型MSストライクダガーを繰り出し、オーブを追い詰めていた。キラ、アスランの奮戦でからくも連合軍を退けるも、オーブ軍は壊滅寸前の損害を受ける。 帰還したキラとアスランを、涙ながらに迎えるカガリ。再会を果たした二人の間には、ようやく素直に話し合える時がやってきた。そして仲間のために戦う、という決意を聞いたアスランは、自らも道を選択せねばならない思いに捕らわれていた…。
第40話『暁の宇宙へ(そらへ)』
オーブは、地球連合に対し幾度となく交渉を試みるが、地球連合のアズラエルは聞く耳を持たない。もはや地球連合側は、武力でオーブを制圧することを決めていた。 再度の総攻撃を前に、キラとアスランはお互いの気持ちをあかし、わだかまりを解く。かつての捕虜ディアッカも、アスランと共に「仲間を守るために」戦うことに同意する。 そしてついに、フォビドゥン、カラミティー、レイダーを筆頭にした地球軍のMS部隊が、オーブの大地に切りこみ、オノゴロ島の海岸線をMS部隊でうめていく。圧倒的戦力の前に、ウズミ・ナラ・アスハはオノゴロ島を放棄し、国民とアークエンジェルを脱出させることを決意、自らは国に残り戦い抜くことを宣言する。 アークエンジェルと戦艦クサナギを宇宙に打ち上げるため、マスドライバー「カグヤ」に次々と射出準備がなされる。今生の別れにウズミは、カガリに衝撃の真実を告げた。おまえは一人ではない、姉弟がいるのだ、と。 追撃する連合のMSを振り切り、アークエンジェルとクサナギは、そしてフリーダムとジャスティスは宇宙へと飛び立つ。それを見届けたウズミたちは、マスドライバーやモルゲンレーテ社と共に、自爆して果てるのだった…。
第41話『ゆれる世界』
宇宙に飛び立ったクサナギとアークエンジェル。クサナギのドッキングも完了し、クルーたちはまず補給と整備のために、戦乱で廃墟と化したL4コロニー群へ進路をとる。 その頃プラントではラクスが全市民に向け、地下放送による抵抗活動を密かに続けていた。その影響力にザラ議長も手を焼き、行方を追うMPの捜索は全て空回りに終わっていた。 一方地球では、オーブでのマスドライバー奪取に失敗した地球軍が、ビクトリア基地を奪還。宇宙へ上がる手段を手に入れることに成功していた。ザフトMS部隊を破った地球軍の勢いは宇宙へと向けられ、新型MS部隊を中核に物資をマスドライバーで次々に打ち上げて大侵攻作戦を始めようとしていた。アズラエルは手駒の3機のガンダムとの戦闘記録から、フリーダムとジャスティスの尋常ではない動力の秘密に気付き、それを手に入れようと画策する。 そしてアークエンジェルにいたアスランは、己の決意を固め父に真意を問うため、単身でプラントへと飛び立とうとしていた…。
第42話『ラクス出撃』
ザフト最高評議会議長であり、父であるパトリック・ザラの戦争の真意を確かめるため、プラントへ向かったアスラン。キラはフリーダムでアスランの乗るシャトルの護衛を自ら志願した。アスランは、キラに自らの覚悟を語る。キラはその真意を汲み取り、別れ際に告げた。「君も僕も…まだ死ねないんだ。」と。 アスランは対面を果たした父に、この戦争に対する真意を問う。だが、そこにいたのはかつての父ではなかった。半ば狂気に満ちた目で語るザラの戦争目的に、アスランはおののき愕然とする。ザラは銃口を息子であるアスランに向け、ジャスティス、フリーダムの所在のみをひたすら問う。反逆者の烙印を押され、連行されていくアスラン。 彼を救出したのは、ダゴスタ率いるラクス派のメンバーだった。ついに動き出したラクス。最新鋭戦艦エターナルを奪取し、プラントを脱出! その艦橋には、かつての「砂漠の虎」バルトフェルドの姿もあった。 L4でアークエンジェル、クサナギと会合するエターナルのメンバーたち。かつての敵味方を離れ、独立部隊がここに結成される。そしてラクスは父シーゲル・クラインが死んだ悲しみを、キラの胸で埋めるのだった…。
第43話『立ちはだかるもの』
地球軍の月面基地にて、戦闘に備え訓練に明け暮れるアークエンジェル級2番艦ドミニオン。艦長席に座る人物は、ナタル・バジルール少佐だった。レイダー、フォビドゥン、カラミティを搭載したドミニオンは、オブザーバーとしてアズラエルを同乗させ、アークエンジェルを撃つためL4のコロニー群へと向かうこととなる。ナタルは、かつての仲間に対し、銃口をむけなければならない現実に衝撃を隠せない。 その頃、廃棄されたコロニー・メンデルに到着したアークエンジェル、クサナギ、エターナルの3艦は今後の行く末を話し合う。アスランが皆の前に姿を見せないことに心配したカガリは、一人考えをめぐらす姿を見つける。「俺は、何もできない…何も判ってなかったと…」と口を開くアスラン。そんなアスランを必死に慰めるカガリ。そのときアスランは、カガリを抱きとめる。アスランとカガリの間に、戸惑いと安らぎ時間が流れた。 だが、ついにメンデル港内にアークエンジェルの艦影を発見したナタルは、ドミニオンから先制の一撃を加える。かつての仲間同士の戦いが、今始まった。
第44話『螺旋の邂逅』
アークエンジェルを討つため、戦闘を仕掛けるドミニオン。3機のガンダムは、キラとアスランの息の合った連携攻撃により押されていく。さらにクサナギが参戦可能になったことを知ったナタルは、戦況不利と判断し戦線からの一時撤退を決意。アークエンジェルは、からくも危機を脱出した。 一方、コロニー内にザフト軍が侵入したことを察知したムウとディアッカは、その迎撃に向かう。新型MSゲイツを駆り現れるラウと、ムウとの因縁の対決が始まる。その戦闘の最中、対峙するバスターを見つけ困惑するイザーク。しかし、搭乗するのがディアッカとは知らないイザークの、怒りに燃えた攻撃はやむことを知らない。シャフトの周囲を飛び回り、懸命に攻撃をかわバスター。デュエルを討つことができないディアッカは、ついにイザークへ呼びかけた。その声に動き止めるイザークのデュエル。MSを降り、対峙する二人に緊張が走る。 その頃、ムウとの死闘の末、援護に駆けつけたフリーダムにゲイツを撃破されたラウは、脱出してひとつの建物に導かれるように消えていく。ラウを追い、その建物へと向かうキラとムウ…その建物の中で、衝撃の事実が明らかになる!
第45話『開く扉』
クルーゼを追ってキラとムウは、ある建物へと侵入した。コロニー・メンデルの遺伝子研究所…そこではラウ、ムウ、キラの三人が銃撃戦を繰りひろげていた。そして緊迫を破るように、ラウの口から衝撃的な真実が明かされる。 同じ頃、地球で行方不明になったディアッカと、久々の対面をしたイザークは、お互いに銃を向けあう中、ディアッカにその真意を問いただす。 一方、コロニーの外では、ナタルを強引に説き伏せたアズラエルに率いられるドミニオンが、アークエンジェルと戦闘を再開しようとしていた。 銃撃戦の最中、ラウは語る。かつてこの研究所で行われていた、人工子宮によるコーディネイター誕生の実験を。キラは研究者を本当の両親に持つ、唯一の成功例であることを。そしてラウとムウの因縁…ラウは、ムウの父親の遺伝子を受け継いだ「出来損ないの」クローンなのだ、と自ら告白するのだ。驚愕の事実を知り動揺を隠せない二人。「すべての人類を裁く権利がある!」とラウは叫び、去っていった。 そして旗艦ヴェサイルスに戻ったラウは、捕虜のフレイに1枚のディスクを託し、地球軍のもとへ送り返す。それが戦争を終結させる「最後の扉」だと言いながら…。
第46話『たましいの場所』
アークエンジェルとドミニオンとの戦闘が再開された。その両者の間隙を縫って、ラウはエターナルを攻撃するためヴェサリウスを出撃させる。ラウは両艦隊に対し、ザフト軍で拘束中の捕虜を返還するという通告を一方的に入れる。戦闘空域に射出されるポッド。そのポッドには、事情がわからないまま乗せられたフレイの姿があった。ラウの行為に戸惑いを隠せない両艦隊。その状況に危機を感じ取ったフレイは、必死な思いでポッドを操作しアークエンジェルに助けを求める。「か、鍵を持っているわ、私」と叫ぶフレイの言葉に、だんまりを決め込んでいたアズラエルが動きだす。救助に向かうキラ、しかしアズラエルの邪魔が入り、ポッドはドミニオンに回収されてしまった。 一方、包囲されたエターナルとクサナギは火線をザフトのヴェサリウスに集中し、突破をはかる。撃沈するヴェサリウス。それを見て、地球軍、ザフト軍双方共に撤退する。 帰還したエターナルでは、フレイを助けられなかったキラが、悲しみの嗚咽を漏らしていた。そして同じ頃、フレイからディスクを受け取ったアズラエルは、その内容が「核使用を可能にするNジャマーキャンセラー」のデータであることを知り、狂喜していた…。
第47話『悪夢は再び』
フレイのもたらした1枚のディスクにより、地球連合はNジャマーキャンセラーの技術を手中にした。アズラエルの主張に踊らされ、核ミサイルは宇宙へ。連合による大攻勢を予想したザフトは絶対防衛ライン、ヤキン・ドゥーエとボアズに戦力を集結させる。 そして……ついに決戦の火ぶたは切って落された。 ザフトの軍事衛星ボアズへ、ピースメーカ隊…核を搭載したメビウス〈ゼロ〉部隊が突入する。次の刹那、閃光が吹きあがる。再び使用された核の炎は、一瞬にして要塞を壊滅させた。崩れ行くボアズを前に、自分が果たしたことを知って無限の悔恨にとらわれるすフレイ。「戦争を終らせるため」というラウの言葉は、虐殺と同じ意味だったのだ。 キラとアスランは核ミサイル部隊「ピースメーカー」再度の攻撃を阻止するために出撃。プラントへ向けて放たれるミサイルを、装備したミーティアで全て撃墜する。 時を同じくして、ナチュラルへの復讐に震えるパトリック・ザラは、ついに巨大レーザー兵器「ジェネシス」の使用を命じる。要塞ヤキン・ドゥーエの陰から出現したジェネシスの閃光が、ついに地球軍艦隊に向け、放たれた!
第48話『怒りの日』
「ジェネシス」が放ったガンマ線の閃光は、連合の前線艦隊を一瞬で消滅させた。ミラージュコロイドで秘匿されていたそれは、まさにザフトの切り札であった。その照準は、容易に地球へ向けることも可能なのだ。 ヒステリックに地球軍を攻めるアズラエル。だが壊滅状態に陥った連合軍も、なんとか体制を立て直し、悲壮な決意でジェネシス破壊へと挑む。しかし、その前には要塞ヤキン・ドゥーエが立ちはだかる。更にジェネシス自体はPS装甲をも装備しているのだ。 キラたちは両者の殺戮戦を止めるため、最後の戦場へと赴く。キラとラクス、カガリとアスラン。そしてマリューとムウ。今生の別れとなるやも知れぬその時間。それぞれの思いは託された。 そして、もう1人。全ての人類を裁くと決意するラウもまたプロビデンスガンダムと共に出撃する。最終決戦の火ぶたが切って落とされた。プラントへ殺到する地球軍、そして核を絶対に阻止すせんとする独立軍。だが、すでに時は遅かった。最終兵器ジェネシスからは、地球軍の月面基地へ向けて、第2射が放たれてしまったのだ!
第49話『終末の光』
ジェネシスの第2射で、地球連合月面基地は壊滅した。次なる目標は地球なのか。連合は壊滅した艦隊を再編成し、ピースメーカー隊を再度出撃させる。核でプラントへの直接攻撃を狙ったのだ。ジェネシスと核の間で奮戦するキラたち。激闘の最中M1アストレイ隊は戦死。ムウもラウとの闘いで傷ついた。しかしイザークとディアッカは連携により、辛くもカラミティとフォビドゥンを撃破する。 同じ頃、アークエンジェルと戦闘中のドミニオン内でも、アズラエルとナタルが対立していた。暴走したアズラエルは全員退艦を命じたナタルに発砲し、更にローエングリンを発射した。回避が間に合わぬアークエンジェル。あわやの刹那、身を挺してムウのストライクはアークエンジェルを守り、爆散した。ムウを失い、血の叫びを上げるマリュー「ローエングリン発射!」。そしてアズラエルを抑えたナタルも叫ぶ。「撃てっ、マリュー・ラミアス!」愛する男を犠牲にした二人の女性の思いは、戦争の元凶の一つ、ブルーコスモスの盟主を葬り去った…。
第50話(最終回)『終わらない明日へ』
多くの犠牲を出しても、戦いはまだ終らない。ドミニオンを退艦したフレイは、キラへの絶ちがたい思いに引きずられるかのようにフリーダムとプロヴィデンスの死闘の場へと紛れこむ。そしてキラの目の前で、襲いかかるラウの非情の刃により、その命を絶たれてしまった。守るべきものをまたも守れなかった悔恨の中に、フレイの姿を幻視するキラ。フレイの魂はようやく、その終焉の時にキラと触れ合えたのだろうか…。 一方、ザラはジェネシスの標的を地球へと向ける。しかし、狂気ともいえる行動を目の当りにしたザフトの中にも、その行為を静止しようとする者が現れる。そして、アスランは父の凶行を阻止すべくカガリと共にヤキン・ドゥーエに突入。しかしそこで見たものは、ジェネシスでの虐殺を止めようとした士官に射たれたザラの姿だった。死の間際にも、ナチュラルへの呪詛の言葉を呟き、ザラは息絶えた。 だが、彼の死をもっても暴走は止められなかった。ヤキン自爆に連動したジェネシスは、発動を開始してしまう。アスランは単身ジェネシスへ。ジャスティスの核エンジンを暴走させ、ジェネシスもろとも破壊しようというのだ。果たして、目論見は成功。アスランは自らの命を絶とうとし、制止されてカガリと共に脱出した。 同じ頃、キラとラウは最後の死闘の末に、相討ちとなってしまう。ザフトではカナーバら旧クライン派により、停戦の呼びかけが行なわれ、ようやく和平への道が開けるかに思われた。無残な戦場跡に絶望をするアスラン。 その時、トリィが宇宙へと飛び出した。その先にあるのは残骸と化したフリーダムの機体、そして、キラの姿…希望は、まだある。