第1話『発生:genesis』
アポカリプスウィルスの発生によって、GHQの統治下にある日本。 天王洲第一高校に通う桜満集(おうましゅう)は、ウェブで話題の歌姫、楪いのり(ゆずりはいのり)と出会う。 だが突然現れたGHQの軍隊が彼女を連れ去り、シュウは残されたシリンダーを手に、ロストクリスマスの惨劇で廃墟となった六本木フォートを目指した。 そしてレジスタンス「葬儀社」のリーダー・恙神涯(つつがみがい)と出会い、遺伝子兵器を巡る戦闘に巻き込まれる。 いのりを守るため、その身一つで人型遠隔兵器、エンドレイヴの前に飛び出したシュウ。――そのとき、彼は右手に、ある能力を得るのだった。
第2話『適者:survival of the fittest』
突如始まった遺伝子兵器を巡る葬儀社とGHQの戦闘。 いのりの胸から引き出した剣でエンドレイヴを破壊し、危機を脱したシュウは、葬儀社のリーダー・ガイと合流する。 ガイの口から語られる“王の能力“、そして“ヴォイド”と呼ばれる異形の力。彼は、力を得たシュウに対し、戦いへの参加を強いる。 戸惑うシュウだが、目の前でGHQによる、日本人への“浄化”が行われたとき、彼の心は決まる。 そして発動する、葬儀社による六本木フォート住民の救出作戦。――その勝敗の行方は、シュウに委ねられた。
第3話『顕出:void-sampling』
葬儀社入りを辞退したシュウ。全てが終わり、以前と変わらぬ静かな毎日に戻れるはずだったが、 シュウのクラスにいのりが転校してきたことで、その日常はあっけなく揺らぎ始める。 ガイによれば、あの日、シュウは六本木で葬儀社と共にいる姿を、天王洲一高の生徒に目撃されたという。 動揺するシュウに、ガイは告げる。平穏な日常が大事なら、自分で守れ、と。 ヴォイドの形のみを手がかりに、目撃者を特定するため学園内を奔走するシュウは、苦闘の末、ようやく目撃者に辿り着く。 ――それは、シュウにとって思いも寄らない人物だった。
第4話『浮動:flux』
谷尋(ヤヒロ)の裏切りによって、テロリストと関わった容疑で収監されたシュウ。 彼を捕らえたGHQの将校、嘘界(セガイ)少佐は、葬儀社のテロリストたる悪性や、GHQの善意を語り、シュウの心を揺さぶり続ける。 一体誰を信じたらいいのか? 思い悩むシュウをよそに、葬儀社は収容所に襲撃を仕掛け、囚人の脱獄作戦らを敢行する。 誰の真実も見えない中、選択を迫られるシュウ。そんな彼の前に現れる、たった一筋の光明。 ――そのとき、シュウは一つの決断を下す。
第5話『訓練:a preparation』
GHQの収容所を脱したシュウは、ガイを逮捕したいというセガイから、密かに渡された発信機を胸に、彼らのアジトに足を踏み入れる。 そこでシュウは、葬儀社の一大作戦である“ルーカサイト”攻略のため、メンバー達から戦闘訓練を受けることになる。 振り返ることなく皆を率いるガイ、そして彼を信じてついていく部下達。彼らを理解できず、ガイへの不満は募るばかり。 さらに唯一信じられる存在であった、いのりの真実を目の当たりにし、シュウの心は深く傷つく。 そして訓練の締めくくりに、綾瀬と模擬戦闘を行うことになるシュウ。見事勝利したシュウを、葬儀社の面々は仲間として迎えいれてくれる。 彼の胸に沸き起こる、認められたという達成感。だがその時事態は急転する。――見えない檻“ルーカサイト”の脅威が、任務に出ていたガイの頭上に襲いかかり……
第6話『檻:leukocytes』
対地攻撃衛星ルーカサイトの凄まじい威力。 葬儀社を支援する、アフリカ連合やリーブネイションズからの増援部隊は全滅し、その場にいたガイも負傷、葬儀社は圧倒的不利な状況での作戦決行を余儀なくされる。 ルーカサイトをコントロールするコアの停止には、シュウの力と城戸研ニ(きどけんじ)のヴォイドが不可欠であった。 しかしシュウは、ガイへの嫉妬と不満、また任務の責任の重さから、作戦への参加を拒んでしまう。 だが、そんな彼をいのりが導き、予想だにしなかったガイの本心に触れたシュウは、共に戦う決意をする。 そして、作戦は動き出す。犠牲者を出しながらもコントロールルームに辿りついたシュウ。 復讐心に燃えたダリル・ヤンの暴走によってコアは破損し、制御を失ったルーカサイトが落下をはじめる。 墜落地点は――東京。 ガイは己の罪を背負い、自らの命を賭けて衛星の破壊を試みる。 「また見ているだけなのか……僕は?」――何もできないことを悔やむシュウに、囁く声が聞こえてきて……
第7話『輪舞:temptation』
ガイと嘘界の取引により、GHQから事件に関する情報を抹消されたシュウは、日常に戻ることを許された。 久しぶりに訪れた学校、彼の身を案じた生徒会長、供奉院亞里沙(くほういんありさ)の助けもあり、生徒達は拍子抜けするほどあっさりと彼を受け入れた。 一方、葬儀社は新たなミッションを開始する。その目的は、物資と資金を確保するため、供奉院グループに渡りをつけること。 シュウはガイとともに、グループ主催の船上パーティに潜入する。そのとき、突如開始される、GHQの将校、ダン・イーグルマン大佐による攻撃。 逃げ場のない船上に迫る大量のミサイル群。――皆を守るため、シュウはある人物のヴォイドを求め、奔走する。
第8話『夏日:courtship behavior』
シュウにとって苦手な友達である魂館颯太(タマダテ ソウタ)。 彼のヴォイドが葬儀社のミッションで必要になった。 シュウはソウタを連れ出すため、表向きは合宿と称し、映研部の友人と共に“大島“にやってくる。 ガイに指示され、“エゴイスト”のファンであるソウタを、いのりを使って呼び出すシュウ。 だが、いのりに特別な気持ちを持つソウタが、告白する気だと知ったシュウは、複雑な思いを抱えたまま、二人を引き合わせることになり……。 ――過去と因縁が渦巻く島で、友達を意図的に武器として使うシュウ。 そのとき彼は、ヴォイドの力と人の心の繋がりを知ることになる。
第9話『捕食:prey』
葬儀社のミッションをヴォイドの力で乗り越え、自信と余裕を持ち始めたシュウは、偶然にもヤヒロと再会する。 アンチボディズから命を狙われた弟・ジュンを守るために、逃亡中だというヤヒロ。 シュウは彼らを保護してもらうために、葬儀社に合流しようとする。 葬儀社の力を借りられない状況の中、開始されるセガイ少佐による攻撃。 慢心にも似た自信を持って、たった一人で立ち向かおうとするシュウ。 ――だが、ヴォイドによって顕わにされるヒトの心の深淵は、そんな気持ちを嘲笑うかのように、暗き淵へとシュウを誘(いざな)い――。
第10話『縮退:retraction』
ジュンを救えなかった……。 自身の慢心が引き起こした過ちから、ヴォイドを使う恐怖に心を蝕まれてしまったシュウ。 葬儀社の作戦も放棄し、メンバーを危険にさらしてしまう。 失意の中、更なる過ちを重ねていくシュウは、築き上げてきた絆を次々と失っていく。 そんなシュウをよそに、“はじまりの石”奪還作戦を開始する葬儀社。 だが、彼らの作戦のさらに裏側では、ある人物による最悪のシナリオが動き出し……。 ――その日、ロストクリスマス以来の最大の危機が、東京を襲う。
第11話『共鳴:resonance』
その歌は、東京にロストクリスマス以来のカタストロフを引き起こした。 キャンサー化の波は、敵・味方の区別無く広がり、東京が大混乱に陥る中、アンチボディズ局長・ケイドウはクーデターを起こし、全権を掌握する。 そして全ての責任を葬儀社に帰し、彼らを掃討しようとするケイドウ。 ガイやいのり、葬儀社のメンバーたちが窮地に立たされる中、一人残されたシュウは……。 ――罪を乗り越え、もう一度立ち上がるシュウのもとに、奇跡の唄が響き出す。
第12話『再誕:temptation』
ガイをヴォイドの刃にかけ、いのりを連れ去った“ダアト”の墓守・ユウ。 その姿を追ったシュウは、六本木フォートに出現した巨大オブジョに導かれる。 その地下で、囚われのいのりを捧げ、異様な儀式を始めるケイドウ。 取り返しのつかない何かが進められてゆく中、突如、シュウの脳裡に浮かびあがる“ある少女”のイメージ。 やがて映し出される“ロストクリスマス”の真実は、彼の罪を露にする。 ――記憶の中から甦る、ずっと忘れていた強き絆。シュウは友の手を取り、己の因縁に立ち向かう。
第13話『学園:isolation』
マナの消滅、そしてガイとの別れ。 ロストクリスマスの再来と言われるほどの大災害から二週間が経過し、被害を受けた東京は封鎖され、 シュウは被災した生徒たちと共に、天王洲第一高校で避難生活を送っていた。 生き残ったシュウやツグミが、これから始まる日常に心を向けようとする中、 ガイの死のショックから抜け出せないアヤセは、一人、前に進めずにいる。 沈んだ空気を払うため、友人らとともに文化祭を計画するシュウ。だが、そこにセガイの仕掛けた罠が襲いかかり……。 ――戦う力を失い、無力を悔やむアヤセ。その瞳に涙が光るとき、シュウは、彼女の切なる願いを知る。
第14話『攪乱:election』
“封鎖された東京に、生存者はいない” ――大統領に就任したケイドウが発し衝撃の表明。 その言葉を証明するかのように、前進を始める“レッドライン”が、生き残った人々を虐殺しながら、その包囲を狭めてゆく。 政府に見捨てられ、錯綜する情報からパニックに陥る生徒達。 そして、リーダーを務めるアリサを失脚させるために、生徒総会が行われる。 ――誰の手にも押さえきれず、暴徒と化す生徒達。彼らを鎮めるため、シュウは……
第15話『告白:sacrifice』
シュウを新生徒会長としてリーダーに頂くことで、平静を取り戻した生徒達。 しかし、刻一刻と迫る“レッドライン”を前に、問題は山積みであった。 難局を乗り越えるため、ヤヒロから提案される“ヴォイドランク制”。 差別の原因となることを嫌い、シュウはその執行を拒んでいたが、 アポカリプスウィルスを抑制するワクチンが不足しはじめ、彼はリーダーとしての決断を迫られる。 その迷いが呼び込むトラブル。友がシュウに投げかける願い。 引き起こされる悲劇の中で、シュウが見出す、自分があるべき姿とは――
第16話『王国:the tyrant』
供奉院アリサを救出するために、封鎖された東京に潜入した葬儀社のアルゴ。 辿りついた先で彼が見たものは、ヴォイドランク制を受け入れ、学園に君臨するオウマシュウの姿だった。 東京脱出計画のため、生徒たちに厳格な支配を強いるシュウ。そこはヴォイドによる、ヴォイドのための王国。 だが、人の心を軽視した階級制度は、シュウと生徒達の溝を深め、彼を孤独の淵に突き落とす。 そんなシュウに対し、反発するアルゴ。 そのとき暴かれた真実は、シュウの意志を、支配を、根底から揺るがすものだった……。
第17話『革命:exodus』
後戻りのできない罪にまみれ、暴君と化したシュウ。 その支配を覆す秘密を知ってしまったアリサは、何者かの手にかかり口を閉ざす。 しかし、それでもなお学園に広がっていく噂は、生徒達の鬱屈を限界まで高めていく。 いのりにすがり、周囲を省みないシュウ。向けられた怨嗟と憎悪は、彼に信じるべき友すら見失わせる。 そんな中、シュウはついに、東京脱出をかけた“エクソダス計画”を発動させる。 ――その裏で張り巡らされた策略が、自身をかつてない絶望の淵に突き落とすとも知らずに……
第18話『流離:Dear. . .』
重ね続けた罪の報いを受けたシュウ。 その前に突如現れたのは、散ったはずの盟友――ガイだった。 だが、彼にかつての面影は無く、シュウの全てを無残にも奪い去り、さらに暗い闇の底に突き落とす。 そして“ダアト”を従えたガイは、要塞と化した24区に玉座を構え、全世界を恫喝する。 一方、生の目的すら失ったシュウは、いのりとともに廃墟を彷徨う。 逃亡する二人に迫る、ダァトの魔手。 ――偽りの中に生まれた紛うこと無き真の光が二人を照らすとき、シュウを思う少女の歌が、彼の心と共鳴する。
第19話『贖罪:rebirth』
葛藤の果てに見出されたいのりの想いは、シュウに罪の許しをもたらした。 そしていのりはシュウの命を守るため、自らを犠牲にし、ガイの手に落ちてしまう。 いのりを取り戻すため、闘う力も仲間も失ったまま、たった一人でガイに立ち向かうことを決意するシュウ。 だが、セガイは最後の希望を刈り取るために動き出し、葬儀社とシュウの友人に対し、執拗な攻撃を開始する。 ずっと目を背けていた自己と向き合い、全てをさらけ出すシュウ。 ――そのとき、奇跡としか言いようの無い力が、新たな運命を紡ぎだす。
第20話『追想:a diary』
2039年12月25日。今ある世界は終わり、新たな世界が始まる。 ガイから全世界に向かって宣告される淘汰の時、“四度目の黙示録”。 供奉院家の後ろ盾を受け、戦いの準備が進められる中、シュウの父、桜満クロスの日記が 届けられる。そこには、実ることなく交錯していった一つの友情と共に、始まりの物語が綴られていた。 力を手放そうとするシュウに託される命。――友と辿り着いた真意を武器に変え、シュウは運命の相手に臨む。
第21話『羽化:emergence』
人類の命運を賭けた戦いの火蓋が、切って落とされる。 巨大な力がぶつかりあう中、いのりを救いだすために、仲間達とともにガイの待ち受ける24区に攻め入るシュウ。 一刻も早く、いのりのもとへ――。急ぐシュウの前に、立ちはだかる最悪の敵。 ――淘汰されゆく者の歌が、シュウを導き……。
第22話(最終回)『祈り:convergence』
ついに始まる“四度目の黙示録”、地球上に住む全てのものに降臨する“進化”と“淘汰“の光。 幼き日からの因縁に決着をつけるべく、二人の少年は、ついに剣を交える。 傷つき倒れるシュウの前で煌く、心の雫。 ――そのとき、シュウは己の罪の意味を知る。