第1話『永遠の夜の中で』
宇宙暦796年/帝国暦487年。ラインハルト・フォン・ローエングラムは2万隻の艦隊を率いて自由惑星同盟領に進攻した。同盟軍は帝国軍に倍する4万隻の艦隊をもってこれを迎え撃つ。誰もが同盟有利を疑わず、帝国軍の内部からも撤退の声が上がる中、ラインハルトは同盟軍艦隊が集結するのを待たずに急進。第四、第六艦隊を各個撃破戦法にて葬り去る。意気の上がる帝国軍は、残る第二艦隊へと矛先を向けるが、そこにはラインハルトの戦略を見抜く、ヤン・ウェンリーの存在があった……。
第2話『アスターテ会戦』
同盟軍第四、第六艦隊を撃破して意気の上がる帝国軍は、残る第二艦隊に対し総攻撃をかける。予想外の方向から攻撃を受けた第二艦隊は、旗艦パトロクロスまでもが被弾。パエッタ司令官が重傷を負ってしまう。指揮権を委譲されたヤンは、ラインハルトの戦術を読み切っていた。勝利を完全なものにするべく中央突破を図った帝国軍に対し、ヤンは自軍が分断されたと見せかけた上で敵の背後に回り込み、猛烈な反撃を開始する。こうしてヤンは自軍の崩壊を食い止め、帝国軍に一矢報いたのだった。
第3話『第十三艦隊誕生』
同盟首都ハイネセンでの「アスターテ会戦戦没者追悼式典」を仮病で欠席したヤン。その会場にヤンの旧友、ジェシカが現れた。彼女はアスターテ会戦で戦死したヤンの親友、ラップの婚約者だった。彼女は舌鋒鋭くトリューニヒト国防委員長を弾劾する。テレビ中継でこれを見たヤンは、後輩のアッテンボローと会場に向かい、憂国騎士団なる集団に襲われそうになっていたジェシカを間一髪で救い出す。
第4話『帝国の残照』
アスターテ会戦の功績により、ラインハルトは帝国元帥に昇進した。王宮での元帥杖授与式の後、ラインハルトは姉であるアンネローゼとの面会を許される。彼と共にアンネローゼの館に向かうキルヒアイスの脳裏には、幼き頃の思い出が蘇っていた。美しい金髪の姉弟が隣の家に引っ越してきた日。三人で過ごした幸せな時間。そして、皇帝の寵姫としてアンネローゼが連れ去られた日のこと。彼女を救うため、彼ら二人は帝国の打倒を誓ったのだった。
第5話『カストロプ動乱』
銀河帝国の地方領主マクシミリアン・フォン・カストロプは、父親が不正に蓄財した財貨の返還を求められるが、これを拒絶し、帝国に叛旗を翻す。説得に訪れたマリーンドルフ伯を人質にした彼は、フェザーンより調達した無人戦闘衛星を頼みにカストロプ星系に籠城。ラインハルトの推挙を受け、彼の腹心であるキルヒアイスに叛乱鎮圧の勅命が下る。彼は大胆不敵な戦術を用いて無人戦闘衛星を無力化し、わずか数日で叛乱を鎮圧。この鮮やかな手腕に、帝国の提督たちも賛嘆の声を上げるのだった。
第6話『薔薇の騎士』
新たに創設された第十三艦隊の司令官となったヤン。彼に下された最初の任務は、帝国軍の軍事拠点、イゼルローン要塞の攻略だった。ヤンの幕僚には、美しく聡明な副官、フレデリカをはじめ、個性的な面々が揃う。中でも注目を集めたのは「薔薇の騎士連隊」の隊長、シェーンコップだった。ヤンは彼に、イゼルローン要塞攻略の秘策を打ち明ける。本作戦に対するヤンの思いを聞いたシェーンコップは、不敵な笑いと共に協力を約するのであった。
第7話『イゼルローン攻略!』
イゼルローン要塞に、同盟軍の攻撃により損傷した1隻の軽巡航艦が入港する。ラーケンと名乗る巡航艦の艦長は、同盟軍のイゼルローン要塞攻略作戦を入手したと語り、要塞司令官シュトックハウゼンに面会を求める。実は、彼こそが変装したシェーンコップだった。司令官を人質に取り、計画通り要塞を手中に収めたと思われたが、一士官の思わぬ抵抗で要塞の全機能が停止してしまう。このままでは第十三艦隊が危ない。シェーンコップらは、要塞中枢部を目指す。
第8話『冷徹なる義眼』
難攻不落を誇ったイゼルローン要塞は、遂に同盟軍の手に落ちた。イゼルローン駐留艦隊の参謀、オーベルシュタイン大佐は、司令部で唯一の生存者として要塞陥落の責を負わされる。彼はラインハルトのもとを訪れ、自らが帝国を憎む理由を語った。ラインハルトはオーベルシュタインを自陣営に迎えると決め、帝国軍上層部に彼の助命を申し出る。しかしキルヒアイスは、オーベルシュタインの登用がラインハルトの覇道に暗い影を落とすのでは、と予感するのだった。
第9話『クロプシュトック事件』
クロプシュトック侯は、帝国門閥貴族の名門だったが、フリードリヒⅣ世が即位する際の権力闘争に敗れて以来、社交界から追放されていた。この日、久しぶりにブラウンシュヴァイク公のもとを訪れた彼は、近々ブラウンシュヴァイク公が開くという皇帝臨席のパーティーへ自らも出席出来るよう懇願する。かつての仇敵に膝をかがめられた公はその願いを聞き容れるが、それは恐ろしい事件の幕開けでもあった……。
第10話『ジェシカの戦い』
テルヌーゼン市にある士官学校の記念式典に招待されたヤン。しかし、代議員補欠選挙の主戦派候補者の出迎えを受け、その選挙宣伝に利用されてしまう。そんなヤンを今度は反戦派の対立候補、ソーンダイクの支持者が襲う。そこに駆けつけヤンを救ったのは、ジェシカだった。反戦派候補の選挙運動メンバーとして活動するジェシカ。二人は懐かしい士官学校を訪れ、過ぎた日々を振り返る。
第11話『女優退場』
ベーネミュンデ侯爵夫人は、かつて皇帝の寵愛を一身に受けていた。しかし、今や皇帝の愛情と関心はアンネローゼに移った。自らの地位を奪ったとして、アンネローゼを深く恨む彼女のもとに、フレーゲル男爵が近づく。ベーネミュンデ侯爵夫人は計略をもってアンネローゼを誘い出し、平民との心中を装って彼女を謀殺しようと試みるが、キルヒアイスらの素早い行動で事態は未然に防がれる。皇帝はベーネミュンデ侯爵夫人に自らの命をもって罪を償うよう命じるのだった。
第12話『帝国領進攻』
イゼルローン要塞の奪取により、戦争が終結すると期待していたヤン。しかし、軍部はさらなる攻勢を計画していた。同盟政府の中には、人材の多くを軍に徴用されたことで社会システムが疲弊している、今は国力回復を図るべきと主張する者もいたが、次の選挙のため勝利を求める声はより大きかった。一方、軍部の作戦会議の席上では、作戦立案者のフォーク准将が空虚な演説を振るっていた。
第13話『愁雨来たりなば…』
同盟軍による帝国軍侵攻作戦の情報を得たラインハルトは、侵攻してきた同盟軍艦隊を帝国領深くに誘い込み、補給線が延びきったところを叩く方針を定めた。さらに同盟軍の兵站に負担をかけるため、同盟軍の進路にあたる辺境惑星から食料や物資を徴発するよう命じる。クラインゲルト子爵領に派遣されたケスラーの顔色は冴えなかった。ここには、彼がかつて想いを交わした女性、フィーアが嫁いでいるのだった。
第14話『辺境の解放』
帝国領内に進攻した同盟軍艦隊は、さしたる抵抗も受けぬまま占領地を拡大しつつあった。彼らが「解放」した惑星では食料や物資が極端に不足していたが、「解放者」を任じる同盟軍は、民衆に生活の保障と安定を約束する。しかし、占領地の拡大と共に、前線から要求される物資の量も増大していった。キルヒアイスにより補給部隊が撃滅されると、困窮した同盟軍は逆に民衆からの略奪を始める。そして、遂に帝国軍の反攻作戦が開始された。
第15話『アムリッツァ星域会戦』
補給線を断たれて物資が欠乏した同盟軍艦隊に、帝国軍艦隊が襲いかかる。同盟軍の各艦隊は大きな損害を出し、ウランフ、ボロディン、アル・サレムら、練達の艦隊司令官を喪う。ヤン率いる第十三艦隊も、眼前の敵に対応するのが精一杯の状況だった。同盟軍総司令部は、敗走する艦隊をアムリッツァ星域に集め、戦力の再編成を図る。帝国軍艦隊も次々と集結、戦いは最終局面を迎えるのだった。
第16話『新たなる潮流』
アムリッツァ星域会戦にて幕を閉じた同盟軍の「帝国領進攻作戦」は、参加した3000万の将兵のうち、実に3分の2を喪う歴史的大敗となった。しかし、ラインハルトは不機嫌な表情を隠さない。黒色槍騎兵艦隊を率いるビッテンフェルトの失策により、またしてもヤンに完勝を阻まれたのだ。ビッテンフェルトに罰を加えようとするラインハルトを、キルヒアイスは諫める。そこに飛び込んできたのは、銀河帝国皇帝フリードリヒⅣ世崩御の報であった。
第17話『嵐の前』
フリードリヒⅣ世崩御に伴い、帝国の門閥貴族の間では、皇帝の後継者を巡る争いが始まった。リヒテンラーデ公の陣営に与したラインハルトは、ブラウンシュヴァイク公ら、もうひとつの陣営との闘争の最中に同盟軍が帝国に侵攻することがないように、ある策を施す。それは、かつてのヤンの上官で、惑星エル・ファシルから民間人を見捨てて逃走し、帝国軍の捕虜となっていたリンチ少将を用いるものだった。
第18話『リップシュタットの密約』
ブラウンシュヴァイク公、リッテンハイム侯を中心とした門閥貴族らは、「リップシュタット連合」を結成、ラインハルトとリヒテンラーデ公の陣営に対抗すべく動き出した。ちょうどその頃、ラインハルトの居室をヒルダが訪ねていた。彼女は、マリーンドルフ家はラインハルト陣営に味方すると語った。ガイエスブルク要塞に集結したブラウンシュヴァイク公ら「賊軍」を討つべく、ラインハルトが出撃する。リップシュタット戦役が始まったのだ。
第19話『ヤン艦隊出動』
アムリッツァ星域会戦の際、心身に失調を来たし予備役に編入されていたフォーク准将。病院を出た彼は、統合作戦本部長クブルスリー大将を襲い重傷を負わせる。その事件と時を同じくし、同盟領各地で暴動が発生する。この鎮圧を一手に任されたヤン艦隊。人使いの荒さに不平を鳴らしつつ出撃準備を急ぐ彼のもとに、遂にクーデター勃発の知らせが。「救国軍事会議」を名乗り、首都星を制圧した彼らの首謀者は、意外な人物だった……。
第20話『流血の宇宙(そら)』
リップシュタット連合とラインハルト陣営の戦いが始まった。「賊軍」艦隊を率いるのがシュターデンと知ったラインハルトは、かつて士官学校で彼に用兵を学んだミッターマイヤーに相手をさせる。「疾風ウォルフ」の異名に似つかわしくない戦術に不審を抱いたシュターデンは慎重に兵を進めようとするが、血気にはやる若手士官たちが急進、敗北を喫する。シュターデン艦隊が逃げ込んだレンテンベルク要塞には、卓越した白兵戦技を誇る猛者、オフレッサー上級大将がいた。
第21話『ドーリア星域会戦、そして…』
救国軍事会議に制圧されたはずのハイネセンから一人の男が脱出し、ヤン艦隊に合流した。バグダッシュと名乗る彼は、救国軍事会議が送り込んだ刺客だったが、フレデリカの並外れた記憶力のおかげでその企ては阻止された。救国軍事会議のメンバー、ルグランジュ司令官率いる第十一艦隊はイゼルローン要塞を攻略するべく進撃していたが、ヤンはこれをドーリア星域で捕捉、撃破する。同じ頃ハイネセンでは、ジェシカらがクーデターに反対する市民集会を開催していた……。
第22話『勇気と忠誠』
リップシュタット連合の副盟主でありながらブラウンシュヴァイク公と袂を分かったリッテンハイム侯は、麾下の艦隊5万隻と共にガイエスブルク要塞を離れ、辺境星域に向かっていた。わずか800隻の艦隊でこれを迎え撃ったキルヒアイスは、ワーレン、ルッツとの連携によって、勝利を収めた。追撃を受けた彼は、レンテンベルク要塞に逃げ込もうとするが、進路上には彼の味方である補給部隊が展開していた……。
第23話『黄金樹(ゴールデンバウム)は倒れた』
ブラウンシュヴァイク公は、自らの領地である惑星ヴェスターラントで叛乱が起こり、領主である甥が殺害されたことを知った。彼は激怒し、ヴェスターラント全土を熱核兵器で焼き払うように命令。これを知ったラインハルトは、直ちに阻止を命じようとするが、オーベルシュタインは異を唱える。敢えて核攻撃を看過し、その非人道的な行いを帝国全土に知らしめることで、リップシュタット連合から民心を離反させるべきというのだ。苦悩するラインハルト。そして、遂に……。
第24話『誰がための勝利』
第十一艦隊の敗北、「スタジアムの虐殺」事件などにより、救国軍事会議は民心を失いつつあった。さらにヤンが「救国軍事会議はラインハルトに使嗾された集団」と発表したことが、人々に大きな衝撃を与える。ヤンは、救国軍事会議が最後の頼りとする軍事戦闘衛星「アルテミスの首飾り」を一撃で破壊し、彼らの士気を挫いた。救国軍事会議の幹部らは、自らの正義を主張しつつ自決。こうして、自由惑星同盟軍のクーデターは終息した。
第25話『運命の前日』
リッテンハイム侯を倒し、ガイエスブルク要塞に帰還したキルヒアイスを出迎えるラインハルト。しかし、キルヒアイスの表情は硬かった。政治宣伝に利用するため、ヴェスターラントへの熱核攻撃を黙認したと認めたラインハルトに、キルヒアイスはむしろ悲しげにその行いを諫めた。しかし、ラインハルトは彼を退け、以後はオーベルシュタインの助言通り、彼を他の部下と同列に扱うことを決める。自らの分身ともいうべき友を遠ざけた、この決断が大きな悲劇を招くことになる。
第26話(第1期 最終回)『さらば、遠き日』
リップシュタット盟約軍を討ち果たし、戦勝記念式典に臨むラインハルト。ブラウンシュヴァイク公の忠実な部下、アンスバッハは、主君の死体と共に現れる。突然、ラインハルトを襲うアンスバッハ。キルヒアイスはラインハルトの盾となって、その攻撃を受け止めた。忠実な友の死に茫然自失となるラインハルト。一方、オーベルシュタインは、この機を逃さず、かつての盟友リヒテンラーデ公を排除する。銀河帝国の国璽を手にしたラインハルトは、銀河帝国の実権を握った。だが、その夢を共に目指した親友は、もはやどこにもいない……。
第27話『初陣』
帝国領進攻作戦と救国軍事会議のクーデターで多くの熟練兵を喪った同盟軍。その穴は新兵によって埋めざるを得ず、ここイゼルローン要塞でも新兵を早く一人前にするための猛訓練が行われていた。そんな中、訓練に出ていたアッテンボロー分艦隊が帝国軍と遭遇、戦闘に入る。新兵も戦闘に加わるが、その中にはユリアンの姿もあった。戦闘艇スパルタニアンに乗り込み、初めての戦闘を経験するユリアン。戦闘は激しさを増し、いよいよ混迷の度合いを深めていく。
第28話『肖像』
銀河帝国の実質的な支配者となったラインハルト。自らの半身ともいうべき友、キルヒアイスを喪って以来、有用な人材の登用には一層意欲を示していた。現在、彼が最も信頼を置くのは“帝国の双璧”との異名を持つミッターマイヤー、ロイエンタールの両名である。二人は全く違う性格でありながら、深い友情と信頼で結ばれていた。そんな中、ラインハルトはシャフト技術大将の示した作戦案を容れ、同盟への進攻を決定する。不審の念を禁じ得ない“双璧”とヒルダ。果たして……。
第29話『細い一本の糸』
シャフト技術大将の作戦は、ガイエスブルク要塞にワープ装置を取り付け、イゼルローン要塞の至近に出現させるという前代未聞の奇策だった。ラインハルトはケンプを司令官に据え、ミュラーと共に作戦を進めるよう命じる。一方、フェザーンでは自治領主ルビンスキーが、これまで採ってきた「三国鼎立」策を改め、ラインハルトに同盟を支配させ、その後にフェザーンが帝国を経済面で支配するとの方針を示した。手始めとして、彼は部下であるケッセルリンクを通じ、同盟政府がヤンに不審を抱くように働きかける。
第30話『失われたもの』
ケッセルリンクの工作は成功し、同盟政府はヤンを首都星ハイネセンまで召喚すると決めた。最前線であるイゼルローン要塞から引き離されるヤン。ちょうどその頃、帝国ではガイエスブルク要塞のワープ実験が成功し、ラインハルトは同盟領への進攻作戦を正式に決定する。また、ケッセルリンクはフェザーン領内に亡命していたシューマッハやランズベルク伯に接触し、ある計画へ参加するよう促す。様々な思惑が錯綜する中、銀河の歴史が動き出す。
第31話『査問会』
ハイネセンに到着したヤンは、すぐさまフレデリカたちから引き離され、軟禁状態に置かれる。そもそも査問会自体が法的根拠のないもので、ヤンは彼を快く思わない政治家たちが行う“裁判ごっこ”に付き合わされることになったのだ。一方、同盟政府の対応に不審を抱くフレデリカたちは、ヤンを解放すべくあらゆる手を尽くす。その結果、現在のハイネセンが政府、軍、マスコミに至るまでトリューニヒト派に支配されているという恐るべき事実を知るのだった。
第32話『武器なき戦い』
遂に帝国軍が、ガイエスブルク要塞を用いた進攻作戦を開始した。同盟の生命線に危機が迫る中、何も知らぬ同盟政府は悠長にヤンの査問会を続けていた。その時、イゼルローン要塞から「帝国軍は移動式巨大要塞をもってイゼルローン回廊に侵攻せり」との緊急通信が届く。進退窮まった同盟政府はヤンを解放し、イゼルローン要塞に赴き敵を迎撃せよと命じる。果たして、ヤンの対応は。
第33話『要塞対要塞』
ガイエスブルク要塞からの攻撃が始まった。要塞主砲「ガイエスハーケン」が、イゼルローン要塞の外壁を打ち砕く。対するイゼルローン要塞も「トールハンマー」で応戦する。続いて帝国軍は陸戦隊を送り込むが、薔薇の騎士連隊が迎え撃つ。敵にヤンの不在を知られてはならない同盟軍は、思い切った策が採れない。一方、陽動作戦が功を奏し、イゼルローン要塞の外壁爆破に成功したミュラー艦隊。その際、捕虜とした兵士が「ヤンは要塞にいない」と告げる。ミュラーの下した決断は。
第34話『帰還』
「要塞にヤンはいない」と信じたミュラーは、急ぎ帰還するであろうヤンを捉えるべく兵を動かすが、司令官のケンプはこれをヤンの策略と判断し、ミュラーに兵を戻すよう命じる。果たして、その時ヤンはイゼルローン回廊まで到達していた。要塞に残るユリアンは、鋭い洞察力でケンプの作戦を見抜き、ヤンの帰還を援護する。ヤンを取り逃がした上、その反撃で大きな損害を受けたケンプは、起死回生の手段として、ガイエスブルク要塞をイゼルローン要塞に激突させようとする!
第35話『決意と野心と』
苦戦するケンプへの援軍として、ミッターマイヤー、ロイエンタール艦隊が派遣される。回廊に急ぐ彼らの前に、敗走するケンプ艦隊と、これを追撃する同盟軍艦隊が現れた。同盟軍艦隊を殲滅した“双璧”は、ガイエスブルク要塞の喪失とケンプの死を知り、オーディンに帰還する。敗戦を知ったラインハルトは激怒し、ミュラーへの処分を考えるが、キルヒアイスの言葉を思い出し、これを赦す。ヒルダは、ラインハルトの苛烈さが、彼の心身そのものを損なっているのではと危惧し、自らに出来ることを模索するのだった。
第36話『雷鳴』
ラインハルトのもとへ、「リップシュタット盟約」の残党が帝国に密入国したとの報告が届いた。ラインハルトは、彼らの目的が皇帝の誘拐にあると見抜く。一連の事態の裏にはフェザーンの暗躍があると考えたラインハルトはフェザーン高等弁務官ボルテックを召喚し、その思惑を問い質す。ボルテックは、フェザーンがラインハルトの覇権に協力する用意のあることを告げ、引き替えに彼が宇宙を掌中にした暁には、フェザーンが経済を掌握したいと語る。しかしラインハルトはフェザーンに対し、ボルテックが想像していた以上の要求を突きつけるのだった。
第37話『幼帝誘拐』
「奸臣のもとから幼い皇帝を救出する」ため、ランズベルクとシューマッハは新無憂宮に潜入し、見事に目的を果たす。しかしそれは、ラインハルトが彼らの目的を知りながら意図的に警備体制を緩めたことによる「成功」だった。ラインハルトは麾下の提督たちを参集、幼帝が誘拐されたと告げる。彼らは近い将来、自由惑星同盟に対しての大規模な出兵があることを予感するのだった。
第38話『矢は放たれた』
「銀河帝国皇帝エルウィン・ヨーゼフⅡ世が自由惑星同盟に亡命」との報は、全宇宙に衝撃を与えた。イゼルローン要塞のヤンは、この事態がラインハルトの同盟侵攻に口実を与えるのでは、と危惧する。一方、ハイネセンでは同盟政府が後援する「銀河帝国正統政府」の樹立が宣言され、メルカッツが軍務尚書として指名を受ける。そして、遂にラインハルトが演説を行う。それは、銀河帝国正統政府並びに自由惑星同盟政府に向けた、厳しい弾劾であった。
第39話『ひとつの旅立ち』
帝国軍の侵攻が間近に迫る中、ユリアンに、フェザーンにある同盟高等弁務官事務所への転任を命じる辞令が届く。ユリアンは抵抗するが、ヤンは軍人になった以上、命令には従わねば、と説く。ヤンの真意を図りかねたユリアンだったが、改めてヤンから、帝国軍がフェザーン回廊から同盟領に攻め込んで来る可能性を示唆され、自らの役割を再認識する。ユリアンはイゼルローン要塞の仲間たちに見送られ、遠くハイネセンを目指すのであった。
第40話『ユリアンの旅・人類の旅』
ユリアンはハイネセンへ移動する時間を使って、改めて人類500年の歴史を振り返る。「遠く、もっと遠く」を合言葉に銀河系に進出した人類は、やがて中世的停滞に陥る。そして、その暗雲を吹き払う英雄として、ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが民衆の支持を集め、遂には銀河帝国皇帝となったのだ。反対勢力を徹底的に弾圧した彼だったが、アーレ・ハイネセンが率いる共和主義者たちの一団が脱出に成功。苦難の末に新たな天地を得た彼らは、自由惑星同盟を成立させたのだった。
第41話『作戦名『神々の黄昏(ラグナロック)』
ラインハルトは、「銀河帝国正統政府」を、門閥貴族を中心とした「歴史を逆流させようとし、ひとたび確立した人民の権利を強奪しようとする」者どもであると弾劾し、これに与する自由惑星同盟政府も同罪だと切り捨てた。帝国民衆はラインハルトの演説に歓呼で応じ、ラインハルトは自由惑星同盟への大攻勢を発令する。作戦名は「神々の黄昏」。それは、2世紀にわたる自由惑星同盟政府の歴史に終止符を打つものであった。
第42話『鎮魂曲(レクイエム)への招待』
フェザーンに到着したユリアンは、フェザーンの豊かな経済力と安定した社会システムに目をみはる。ユリアンは、イゼルローン出立前にヤンが語った「帝国軍がフェザーン回廊を通過して同盟領に侵攻して来る可能性」をフェザーンの要人に示唆するが、絵空事と苦笑される。そんな中、遂にロイエンタール率いる大艦隊がイゼルローン回廊に姿を見せた。同盟軍の関心はイゼルローン回廊に集まり、迎撃のための準備が始まった。しかし……。
第43話『ギャラルホルンは鳴った』
ロイエンタール艦隊によるイゼルローン要塞攻略が始まった。接近する艦隊を迎撃すべくイゼルローン要塞駐留艦隊が出撃するも、乱戦に持ち込まれ要塞主砲を封じられる。優位に戦いを進め、余裕を見せるロイエンタールだったが、要塞からヤンの乗艦、ヒューベリオンが出撃するのを見て平静さを失う。突進するロイエンタール旗艦に、次の瞬間、同盟軍の強襲揚陸艦が食らいついた。白兵戦が展開される艦内で、ロイエンタールとシェーンコップは一騎討ちを演じる。ひとしきりの激しい戦闘の後、双方兵を引き、体勢を立て直す。膠着した戦線を打破すべく、ミッターマイヤー艦隊が進発したが……。
第44話『フェザーン占領』
イゼルローン回廊に向かうはずだったミッターマイヤー艦隊だが、その進路はフェザーン回廊に向いていた。帝国軍大挙襲来という誰も予想出来なかった事態に、フェザーンは大混乱に陥る。この機に乗じ、ケッセルリンクは自治領主ルビンスキーの暗殺を謀るが、ルビンスキーは彼の行動を読んでおり、返り討ちにする。12月30日、ラインハルトは遂にフェザーンの地を踏む。期せずして沸き上がった「ジーク・カイザー!」の歓声に手を振るラインハルト。そのままフェザーン航路局に向かった彼は、手中に入った同盟領の航路図を前に、亡き友に語りかけていた。「行こう。宇宙を手に入れるために」
第45話『寒波到る』
「フェザーン、帝国軍により占領さる」の報は、同盟政府を震撼させた。元首として責任を負うべきトリューニヒトは雲隠れしたが、これまで“二流利権屋”と蔑まれてきたアイランズ国防委員長が、別人のように精力的に活動、事態の収拾に乗り出す。アイランズはビュコックに同盟軍の再編と指揮を一任、ビュコックは新たに参謀長となったチュン少将と共に難題に立ち向かう。そして、この同盟の危機を乗り越えるには、遠くイゼルローン要塞でロイエンタール艦隊と対峙している、ヤンの知略が不可欠であった。
第46話『ヤン提督の箱舟隊』
ビュコックはヤンに、「自らの最善と信じる行動を取るように」と命令する。これを受け、ヤンはイゼルローン要塞の放棄を決める。驚く幕僚たちにヤンは、もはやイゼルローン要塞は戦略的価値を失ったと語り、駐留艦隊を含めた戦力は同盟防衛のために集中すべきと説く。果たして要塞放棄の方針は定まった。ロイエンタール艦隊の攻勢にさらされる中、大船団を組んでの撤退は困難を極めたが、キャゼルヌらの尽力で無事に成功。ロイエンタールはおよそ2年半ぶりに元の持ち主の手に戻った要塞に入場する。
第47話『自由の宇宙(そら)を求めて』
ラインハルトのもとに、ヤンがイゼルローン要塞を放棄したとの知らせが届く。彼は、ヤンが戦場で自らを倒そうとしていることを見抜くが、それでも彼は「双頭の蛇」の先陣に立つと宣言する。一方、ユリアンは地球教徒の巡礼団に紛れてフェザーンを脱出、ヤンのもとへ帰ろうとしていた。だが、帝国軍の駆逐艦が行く手を塞ぎ、船内を臨検するという。果たしてユリアンの運命は……。
第48話『双頭の蛇 ~ランテマリオの決戦~』
帝国軍を迎え撃つため、ランテマリオ星域に布陣した同盟軍。しかし、その戦力比は3対1と、圧倒的に不利な状況に置かれていた。同盟軍は地の利を活かして善戦するものの、帝国軍は「双頭の蛇」の陣で同盟艦隊を翻弄し、同盟軍の艦艇は次々と撃破されていく。敗戦を悟ったビュコックは自決を試みるが、参謀長のチュンに説得される。その時、ヤン艦隊の援軍が敵後方に出現したことで、帝国軍は混乱。その隙を突いてビュコック艦隊は撤退に成功する。ラインハルトは、またしてもヤンによって完全なる勝利を妨げられたのだった。
第49話『闇が深くなるのは…』
からくも同盟軍の完全崩壊を防いだヤンは、ハイネセンに帰還した。そこには策略によって帝国軍の駆逐艦を奪取し、脱出に成功したユリアンの姿もあった。久しぶりにヤンのもとに戻ったユリアンは、フェザーンと地球教の関係を語る。その内容にヤンは驚きを隠せないが、今は帝国軍の侵攻作戦への対応策を考えねばならなかった。一方、帝国軍本営では、ラインハルトが過労から発熱していた。病床の彼の脳裏に浮かぶものとは……。
第50話『連戦』
ラインハルトを戦場で倒せば、帝国軍は求心力を失って崩壊する。こう考えたヤンは、同盟領内で神出鬼没のゲリラ戦を行い、ラインハルト麾下の諸将を次々と撃破する。苛つくラインハルト。彼は、ヤンが自分との戦いを望んでいることを推察していた。遂にラインハルトは我が身を囮として用い、ヤン艦隊をおびき寄せる策に出る。ヤンは、ラインハルトの罠に気付くのか。両者の決戦の時が迫っていた!
第51話『バーミリオンの死闘(前編)』
ラインハルトとヤン――両者の激突の時が間近に迫っていた。そんな中、ヤンは勇気を振り絞ってフレデリカに求婚をする。フレデリカがヤンを知ってから11年、遂にその恋が実る時が来たのだった。一方、ラインハルトは麾下の提督たちを本営から離し、自らを囮としてヤン艦隊を誘う。ヤンは、それを罠と承知した上で、ラインハルト個人を葬るべく敵陣の深部へと艦隊を進める。後世の歴史家が「死闘」と称したバーミリオン星域会戦が始まったのだ。
第52話『バーミリオンの死闘(後編)』
ヤンとの決戦に際してラインハルトが採った作戦は、ヤン艦隊の進路上に艦列を幾重にも敷き並べ、これを突破させることでヤン艦隊の損害を累積させ、消耗戦を強いるものであった。このラインハルトの作戦をユリアンが見破った。ユリアンの考えを聞いたヤンは策を講じ、自ら率いる艦隊でラインハルトの乗艦、ブリュンヒルトに急迫する。各地に分散した提督たちのうち、かろうじてミュラーが援軍に駆けつけるが、その勇戦も虚しく、遂にヤンはブリュンヒルトを射程内に捉える。
第53話『急転』
ヤンの乗るヒューベリオンは、遂にブリュンヒルトを射程内に捉えた。まさに砲撃命令が下されようとした瞬間、自由惑星同盟政府からヤンのもとに「無条件停戦命令」が届く。ヤンは、勝利を目前にしながら、命令に従い攻撃を中止する。突然の停戦の裏には、ヒルダの活躍があった。バーミリオン星域での戦況を知った彼女はミッターマイヤーに、ハイネセンの同盟政府を屈服させ、彼らからヤンに停戦命令を出させるよう進言したのだ。停戦に応じたヤンは、メルカッツに小艦隊を預け、一旦姿を隠すよう依頼する。これは将来を見据えたヤンの布石だった。
第54話(第2期 最終回)『皇帝ばんざい(ジーク・カイザー)!』
ラインハルトに招かれたヤンはブリュンヒルトを訪れ、ここに初めて両雄の対面が実現した。ラインハルトは、ヤンを帝国元帥に任じた上で麾下に加えたいと望むが、ヤンはこれを固辞する。彼は、専制君主であるラインハルトに敢えて民主主義の理想を語り、ラインハルトはさして興味は抱かないものの、ヤンの立場には理解を示す。その後、ハイネセンに降り立ったラインハルトは、同盟政府と「バーラトの和約」を締結する。事実上、全宇宙の統治者となったラインハルトは、正式に銀河帝国皇帝への即位を宣言。遂にローエングラム王朝が誕生した。
第55話『儀式から再び幕は上がり…』
宇宙暦799年/新帝国暦1年。ラインハルト・フォン・ローエングラムは、遂に新銀河帝国ローエングラム王朝の初代皇帝として即位した。同じ頃、自由惑星同盟では、軍を退役したヤン・ウェンリーがフレデリカ・グリーンヒルと華燭の典を挙げ、新婚生活に入っていた。幸せな二人を見つつ、ユリアンは地球に向けて旅立つ。時代は安定期を迎えたように見えたが、それは新たな激動の時代の始まりに過ぎなかった。
第56話『地球へ』
ユリアンとマシュンゴ、それにダヤン・ハーン基地で合流したポプランを乗せた「親不孝号」は、地球へと向かっていた。地球に本拠地を置く地球教の実態を探ろうとするユリアンは、船内のライブラリを使って人類が地球から宇宙へ進出した歴史を振り返る。それは、地球と植民星の抗争の記録であり、その戦いの末、資源と人材を失った地球が、人類社会の中で忘れられた存在になるまでの物語であった。
第57話『キュンメル事件』
新帝国の閣僚人事を発表したラインハルト。国務尚書にはヒルダの父、マリーンドルフ伯爵が任命された。ヒルダらの願いにより、ラインハルト最初の行幸はキュンメル男爵家と決まった。生まれつき病弱で明日をも知らぬ命の男爵は、名ばかりの貴族から皇帝へと自らの力で登り詰めたラインハルトと我が身を比べ、屈折した思いを抱いていた。その代償をラインハルトを屈服させることで得ようと、彼は爆弾の起爆スイッチを手に皇帝を脅迫するのだった。
第58話『訪問者』
キュンメル男爵による皇帝暗殺未遂事件は、地球教の陰謀であることが判明した。ただちに討伐軍が編成され、司令官に任ぜられたワーレン指揮の下、地球に向けて艦隊が進発する。マリーンドルフ親子の謹慎も解かれ、新王朝では一族が罪に連座することはないと示された。一方、帝国では不穏な噂が流れていた。同盟軍の捕虜が、メルカッツ提督は生きていると述べたというのだ。その噂が事実であれば、当然ヤンもそれを知っていることになる……。
第59話『過去と現在と未来と』
ラインハルトは、前ゴールデンバウム王朝の全史を調査した報告書を読んでいた。始祖ルドルフ以降、歴代皇帝の様々な行跡を読みつつ、ラインハルトは己を振り返るのだった。一方、自由惑星同盟首都ハイネセンポリスで新婚生活を送るヤンは、年金削減の知らせに渋面を作っていた。その上、同盟駐在高等弁務官レンネンカンプは、ヤンを危険人物と見做し、監視を強化していた。ヤンは奇想天外な方法でキャゼルヌと連絡を取り、今後のことを考えるのだった。
第60話『魔術師捕らわる』
帝国軍との和睦条項により廃棄処分となる戦艦や宇宙母艦が、何者かに強奪される事件が発生した。これはヤンの指示でメルカッツが起こしたものだが、レンネンカンプは確たる証拠もないまま、自由惑星同盟政府にヤンを反和平活動防止法違反により拘束するよう勧告する。尋問の中で、ヤンは自らの逮捕に法的根拠がないことを知る。一方でそれは同盟政府が自らの法を遵守する余裕がなくなったことを示していた。ヤンを救うべく、フレデリカたちは行動を起こす。
第61話『歌劇(オペラ)への招待』
同盟最高評議会議長ジョアン・レベロは、拘置されているヤンに対し、国家の存続を図るため自己を犠牲にすべきと説く。一方、ヤンを救出するために薔薇の騎士連隊が動いていた。シェーンコップ指揮の下、オペラ観劇に向かう途中のレベロを拉致し、ヤンを無傷で解放するよう迫る。レベロが拉致されたことを知ったレンネンカンプは、装甲擲弾兵部隊に臨戦態勢を命じる。進退窮まった統合作戦本部長ロックウェルは、ヤンを暗殺して事態を収拾しようと図る。
第62話『血の流水階段(カスケード)』
無事に解放されたヤンは、レベロの前に姿を現す。言葉をなくすレベロに対し、ヤンは、帝国高等弁務官レンネンカンプを人質に取りハイネセンを離れるので、帝国軍に対しヤンたちを討伐するよう要請して欲しい、と告げる。そうすれば同盟政府の面目も保たれるとの言葉に、レベロはヤンと元部下たちの安全を保証する。薔薇の騎士連隊の活躍で拘禁されたレンネンカンプは、ヤンに捕らえられたばかりか、レベロにも裏切られたことを知り、深く絶望するのだった。
第63話『聖地』
ワーレンは、地球教徒のテロで片腕を失う悲劇に見舞われつつも、遂に地球に到着。ヒマラヤ山中の地球教本部に総攻撃を開始する。同じ頃、ユリアンらも地球教本部に潜入していた。食事にサイオキシン麻薬が混入されていると看破した彼らは行動を開始、フェザーン商人と身分を偽りつつワーレンたちの攻撃部隊に協力する。教団の秘密資料を手にしたユリアン。帝国軍の猛攻にさらされた地球教徒たちは殉教の道を選び、自ら地底へと消えていった。
第64話『休暇は終わりぬ』
ラインハルトのもとに、地球教本部掃討作戦が完了したとの報告が届く。一方、ハイネセンからはヤンが脱出するに至った経緯が伝えられた。帝国軍最高幹部会議ではレンネンカンプの軽挙を咎める意見が続く中、ハイドリッヒ・ラングはレンネンカンプを非難することは皇帝を非難することと主張、ロイエンタールに皇帝の威を借りる者として厳しく弾劾される。ラインハルトは同盟を併呑する理由を得たことになるが、その心は冷めていた。
第65話『すべての旗に背いて』
ハイネセンを脱出したヤンは、ダヤン・ハーン基地でメルカッツと合流を果たす。シェーンコップたちはヤンにエル・ファシルに向かうよう促すが、同盟政府との関係修復を望んでいた彼は、行動を控え同盟からの連絡を待つ。一方、一連の事件の究明を命じられたシュタインメッツは、ヤンからの情報をもとにレンネンカンプの遺体を収容し、事態の全容を把握した。報告書を受け取ったラインハルトは、帝国三長官を招集した。再戦か、現状維持か。全宇宙が彼の決断を見守っていた。
第66話『黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)の下に』
帝国三長官を招集したラインハルトだったが、その日は明確な方針を示さぬまま散会となった。ラインハルトの覇気に衰えを感じるロイエンタール。しかし、レンネンカンプの葬儀の後に行われた会議で、ビッテンフェルトは主戦論を主張し、ラインハルトに熱い心を呼び戻す。ラインハルトは同盟領への進攻作戦を決定し、ビッテンフェルトに先鋒を命じる。ふたたび帝国軍が動き出す。
第67話『神々の黄昏(ラグナロック)』ふたたび』
ラインハルトは、全宇宙に向けて一連の騒動の真相を語った。レンネンカンプの非については率直に謝罪した上で、自由惑星同盟政府の不誠実さを弾劾し、改めて同盟への宣戦を布告する。同盟への復帰の途が完全に絶たれたと悟ったヤンは、エル・ファシルに向かうことを決める。そこには「真の民主主義」を掲げるエル・ファシル独立政府があるのだった。一方、ビュコックは現役への復帰を決め、宇宙艦隊司令部に向かう。
第68話『エル・ファシルへ』
帝国首都オーディンでラインハルトの演説を聞いたユリアンは、ヤンは遠からずエル・ファシルに姿を現すと予想、帝国を脱出してエル・ファシルに向かう。同じ頃、ハイネセンの宇宙艦隊司令部には、かつてのヤン艦隊の幕僚であるムライ、フィッシャー、パトリチェフが呼ばれていた。艦隊参謀長のチュンは、彼らに5500隻の艦艇を預け、乗員と共にヤンに届けるよう依頼する。また、惑星ルジアーナの同盟軍工廠はミッターマイヤーの攻撃を受けつつも、新造艦を揃えヤンのもとに送り出す。ヤンの手元に戦力が集まりつつあった。
第69話『イゼルローン再奪取作戦』
「ヤンとの直接対決は避け、エル・ファシルを孤立させて自然瓦解を図る」というヒルダの献策をラインハルトは受け容れなかった。ヤンとの再戦が彼の望みだったのである。一方、ユリアンたちはヤンと再会を果たしていた。機は熟したと見たヤンは、イゼルローン再奪取計画を進めるが、エル・ファシル独立政府はヤンに残留を指示、作戦行動はメルカッツとシェーンコップに委ねられた。「不正規隊」がイゼルローンに向けて進発するちょうどその頃、ビュコックも最後の戦いに臨もうとしていた。
第70話『蕩児たちの帰宅』
イゼルローン要塞を守るルッツのもとに、出撃を命じる電文と待機を命じる電文が相前後して届く。ルッツは、これをヤンの謀略と見抜き、逆に罠にかけようと全艦隊を率いて出撃する。案の定、要塞に接近する不正規隊。要塞主砲で殲滅しようとする帝国軍だったが、ヤンの仕掛けた細工で要塞主砲は封印されていた。急ぎ要塞に帰還するルッツ。一方、ユリアンたちは激しい白兵戦の末、要塞予備制御室を占拠。主砲の封印を解き、ルッツ艦隊を迎撃する。戦意を喪失した帝国軍は降伏し、ヤン艦隊は要塞への帰還を果たす。
第71話『マル・アデッタ星域の会戦(前編)』
自由惑星同盟軍は、ビュコック指揮の下、マル・アデッタ星域にある細い回廊状の宙域に布陣、帝国軍の侵攻を待つ。圧倒的な兵力を揃えた帝国軍だったが、狭隘な宙域ではその利を生かすことも出来ない。かえってビュコックの老練な策に翻弄され、大きな損害を出してしまう。双方の激闘が続く中、同盟軍の艦隊は帝国軍総旗艦ブリュンヒルトに迫りつつあった。
第72話『マル・アデッタ星域の会戦(後編)』
カールセン提督指揮の同盟軍分艦隊はブリュンヒルトに迫るが、ミュラーらの反攻により決定打は得られず。一方ビュコック率いる本隊は、折から吹き荒れた恒星風を利用して敵陣を突破した。しかし、ここで帝国軍は総反攻を開始、ビッテンフェルト指揮の黒色槍騎兵艦隊も加わり、同盟軍を崩壊させる。敗戦を悟ったビュコックは、ラインハルトからの降伏勧告を感謝と共に断り、民主主義に杯を掲げて別れを告げた。こうして、自由惑星同盟の最後の戦いが終わった。
第73話『冬バラ園の勅令』
イゼルローン要塞に入ったヤンのもとには同盟軍の残存兵力が集まりつつあった。そんなイゼルローンにビュコック戦死の凶報が届く。自らの考えの甘さを責めるヤン。ヤンの部下たちも、彼らなりの方法で宿将の死を悼んだ。同じ頃、統合作戦本部長ロックウェルはレベロを暗殺、帝国軍に全面降伏の意を伝えた。宇宙暦800年/新帝国暦2年2月9日。ラインハルトは、遂にハイネセンの地に降り立つ。同月20日、同盟の終焉を告げる「冬バラ園の勅令」が公布され、同盟は273年の歴史に幕を下ろしたのであった。
第74話『前途遼遠』
ラインハルトは自ら艦隊を率いてイゼルローン回廊へ赴き、ヤンと雌雄を決することを望むが、ヒルダやロイエンタールに諫められ、これを断念する。一方、イゼルローン要塞では、ようやく時間の取れたヤンたちが、ユリアンが持ち帰った地球教の資料を検証していた。地球教とフェザーンの強い結びつきに驚きを隠せない一同。ヤンは、自らが激動の時代のただ中にいることを実感していた。同じ頃、ラインハルトのもとに1通の報告が届いた。曰く、「ロイエンタール元帥に不穏の気配あり」と。
第75話『雷動』
公明正大で知られる司法尚書ブルックドルフ。ロイエンタールに叛意あり、との報告書に彼の署名があったことから、その信憑性はいや増した。ロイエンタールが旧門閥貴族リヒテンラーデ公爵に連なる女性を私邸に匿い、あまつさえ彼女はロイエンタールの子を宿しているとの疑惑に、ロイエンタールは彼女の存在を認めた上で、懐妊については知らなかったと述べる。ラインハルトは彼に、彼らが初めて会った5年前のことを覚えているかと問うのであった。
第76話『祭りの前』
ハイネセンポリスで突如大爆発が起こり、激しい火災が発生。炎は市街地を焼き尽くすが、ロイエンタールが用意していた危機管理マニュアルにより被害は最小限にとどまった。リヒテンラーデ公爵に連なる者を匿った罪に問われていたロイエンタールだったが、この功績を考慮に入れ、統帥本部長は解任したものの、旧自由惑星同盟領を統治する新領土提督に任ずるという決定が下された。ただ、この人事はヤンらを討ち、完全なる銀河統一がなされた後に発効するとあり、諸将は新たな戦いを予感する。
第77話『風は回廊へ』
ラインハルトと諸将は、イゼルローン要塞に拠るヤン一党を討伐するため、ハイネセンを進発した。その10日後、フェザーンにて爆破テロが発生、工部尚書シルヴァーベルヒが死亡、ルッツらも負傷する。同じ頃、ハイネセンでも郊外の病院で火災が起こり、その混乱の中、入院患者のアンドリュー・フォークが行方不明となった。これら一連の事件の裏には地球教の残党、ド・ヴィリエの影があった。一方、イゼルローンに向け進撃を続けるビッテンフェルトは、ヤンに対し降伏を呼びかけるが……。
第78話『春の嵐』
ビッテンフェルトからの通信は、降伏勧告とは名ばかりのヤンたちを挑発するものだった。圧倒的不利な戦いを目前にしつつも、ヤン不正規隊の仲間たちは全く変わらぬ日常を送る。そんな中、ふとしたきっかけでカリンと口論してしまったユリアンは、己の未熟さを責める。ヤンはユリアンと共にブランデーを傾け、夜明けまで語り合うのだった。翌日、イゼルローンからビッテンフェルトへ返電が送られる。そこに秘められたメルカッツの策謀とは。
第79話『回廊の戦い(前編)~常勝と不敗と~』
イゼルローン要塞からの無礼な返電にいきり立つビッテンフェルトだが、幕僚らはメルカッツからの内応を申し出る通信に注目していた。ファーレンハイトは罠だと断言するも、これを逆用しようと、彼らは敢えて艦隊を進める。果たして回廊入り口でアッテンボロー艦隊を発見、猛攻を加える黒色槍騎兵艦隊。ファーレンハイト艦隊も後続するが、これこそがヤンの策略だった。ヤン艦隊は帝国軍を容赦なく打ちのめす。アースグリムの捨て身の砲撃で、帝国軍はかろうじて全滅を免れた。
第80話『回廊の戦い(中編)~万華鏡(カレイドスコープ)~』
ヤンは回廊に大量の機雷を敷設し、帝国軍の侵入を阻むが、ロイエンタールは指向性ゼッフル粒子で一気に機雷原に穴を開け、進撃路を作る。機雷原を突破してきた帝国軍に砲撃を集中させるヤン。しかし、帝国軍の物量は圧倒的な圧力となってヤンたちを襲う。激しい砲火の応酬に、宙域にはエネルギー流が吹き荒れ、戦場は万華鏡の様相を呈する。メルカッツの献策に従い、ヤンは膠着状態を打破、ブリュンヒルトに迫るが、シュタインメッツ艦隊により阻止される。
第81話『回廊の戦い(後編)~大親征の終幕~』
「ミッターマイヤー提督戦死」の報がブリュンヒルトに届く。それは誤報であったが、ラインハルトに全面攻勢を決意させるきっかけとなった。帝国軍の艦隊が強大な圧力となって不正規隊を襲う。ヤンはイゼルローン要塞への撤退を試みるが、ミュラーらの帝国軍艦隊に隙はない。さらに凶報がヤンを愕然とさせる。「生きた航路図」ことフィッシャー提督が戦死したのだ。敗北を覚悟するヤン。だが、なぜか帝国軍は進撃を停止し、ラインハルトの名で停戦と会談を求める電文が届いた。
第82話『魔術師、還らず』
ラインハルトからの会談の申し出に、ヤンは巡航艦レダⅡでブリュンヒルトに向かう。入れ違いにイゼルローンに到着したボリス・コーネフは、ヤンを暗殺する計画があると告げる。ヤンを保護するため、急ぎ出港するユリアンたち。しかし、既に暗殺者の魔手はヤンに迫っていた。レダⅡの中で激烈な戦闘が繰り広げられ、パトリチェフも戦死する。そして、遂にヤンも兇弾に倒れた。薄れゆく意識の中で、フレデリカ、ユリアン、そして大勢の友や仲間たち、脳裏に浮かぶ彼らに別れを告げ、ヤン・ウェンリーの時は33歳で止まった。
第83話『祭りの後』
ヤンを救うため、必死にレダⅡを捜索するユリアン。しかし、彼が見つけたのは永遠の眠りについたヤンの姿だった。悲しみと憤りに我を忘れるユリアン。シェーンコップはユリアンに、ヤンを暗殺したのは地球教徒だと告げる。イゼルローンに帰還したユリアンは、フレデリカにヤンの死を告げる。愛する夫を想い、涙するフレデリカ。一方、イゼルローンの上層部は今後の方策について討議、軍事指導者としてユリアンを選ぶ。政治指導者にはフレデリカが就き、ヤンの遺志を継いで共和制の芽を守っていこう、と決意するのだった。
第84話『失意の凱旋』
ヤンの突然の死は、味方のみならず帝国軍の将帥にも衝撃を与えた。ラインハルトは、ヤンの死に大きな喪失感を覚える。イゼルローンの人々も深い悲しみと失意に沈んでいた。ポプランも大量の酒瓶と共に自室にこもっていたが、ユリアンの司令官就任を知り、過去より未来に身を置くべく、気力を取り戻す。帝国軍を代表して弔問に訪れたミュラーは、短いながらも誠意の込もった弔辞を述べ、ヤンの死を悼んだ。一方、ロイエンタールは新領土総督として赴任すべくハイネセンへと向かう。宇宙暦800年/新帝国暦2年6月、時代は大きな節目を迎えていた。
第85話『遷都令』
フェザーンに降り立ったラインハルト。ファーレンハイト、シュタインメッツ、そしてヤンへ、弔いの杯を掲げる将帥たち。テロ爆破犯を操作するラングは、地下アジトでルビンスキーと接触。ロイエンタールを陥れるため、彼らと手を結ぶ。新帝国暦2年7月29日、ラインハルトはフェザーンへの遷都を正式に発表した。そんな中、仕官を求めてきたトリューニヒト。ラインハルトは皮肉を込め、新領土総督府高等参事官を提示したが、彼は平然とそれを受け容れた。ミッターマイヤーらは、この人事が将来どのような影響を与えるか思案するのだった。
第86話(第3期 最終回)『八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ)』
ユリアンは、フェザーンに遷都することでイゼルローン要塞の価値をなくすというラインハルトの構想を見抜いていた。民主共和制の砦を守るため、彼は生前のヤンの行動を思い出しつつ、精力的な活動を続ける。そんな彼の心身を気遣うカリン。ハイネセンに潜入したボリス・コーネフが、地球教の怪しげな動きを報告する中、「イゼルローン共和政府」が樹立された。創立記念式典では「くたばれ、カイザー・ラインハルト!」の声と共に無数のベレー帽が宙に舞い、旧同盟国歌が歌われる。ヤンの遺した理想は、確実に次の世代に受け継がれていた。
第87話『嵐の予感』
盟友キルヒアイスばかりか、宿敵ヤン・ウェンリーも喪ったラインハルトは、その喪失感を埋めるべく、日々の政務に励んでいた。ある日、ラインハルトはミッターマイヤーを前に、5年前の嵐の夜のことを語り出す。ロイエンタールは、門閥貴族の子弟を処刑したため軍刑務所に収監されたミッターマイヤーを救おうと、ラインハルトに助力を求めたのだ。これを機に、彼らはラインハルトに忠誠を誓い、数多くの武勲を立てることになる。
第88話『辺境にて』
銀河帝国と自由惑星同盟の激戦場であったイゼルローン要塞。現在はイゼルローン共和政府の根拠地として、民主共和制を守る砦となっていた。ユリアンは軍司令官として、政治首班となったフレデリカを支えつつ、これから進むべき道を探る。遂にユリアンは、銀河帝国に立憲制を敷くことで、共和制の思想を広められないかとの考えに至る。それはヤンの教えではなく、ユリアン自らが考えた目標だった。そんな中、ボリス・コーネフがイゼルローンに驚くべき情報を持ち帰る。
第89話『夏の終わりのバラ』
帝国軍戦没者墓地の完工式で、ナイフを持つ男に襲われたラインハルト。取り押さえられた男は、自分はヴェスターラントの犠牲者の遺族だと叫ぶ。男は舌鋒鋭くラインハルトを弾劾する。ラインハルトは、盟友キルヒアイスを喪う原因となり、アンネローゼとの別離をももたらした自らの行為をふたたび眼前に突きつけられ、茫然と立ちすくむしかなかった。その夜、孤独と罪悪感に包まれていたラインハルトは、ヒルダに一夜の慰めを求める。
第90話『鳴動』
惑星ハイネセンのグエン・キム・ホア広場では、20万人の市民が集い、戦没者合同慰霊祭が開かれていた。新領土総督のロイエンタールは、杞憂と思いつつも2万人の警備兵を配置する。しかし、何者かの煽動により暴動が発生、双方に多くの死傷者を出してしまう。この事件を皮切りに新領土の各地で反帝国の暴動が相次ぎ、ロイエンタールは秩序回復に腐心する。彼は、この一連の騒動の裏に、帝国の権威のみならず彼個人の信望を失墜させようと企む陰謀を予感する。
第91話『発芽』
ヒルダに求婚をしたラインハルトだったが、明確な返事は得られぬまま。鬱々とした気分を晴らすべく、乗馬や芸術鑑賞で日々を過ごしていた。そんな中、「ロイエンタール提督に叛意あり」との噂が流れる。一方、ハイネセンのロイエンタールのもとには「ラインハルトの病につけこみ、オーベルシュタインらが政治を壟断(ろうだん)している」との情報が入る。ロイエンタールは、ラインハルトの真意を確かめるべく、皇帝に新領土への行幸を求める。
第92話『ウルヴァシー事件』
新領土行幸の途上、ラインハルトは惑星ウルヴァシーに降り立つ。大親征慰霊碑への参拝を済ませ、基地で休むラインハルトの寝所を叛乱兵が取り囲んだ。外部との通信も途絶する中、ルッツとミュラーはラインハルトを地上車に乗せて脱出するが、車中でミュラーはロイエンタールの謀叛を疑う。湖に着水したブリュンヒルトを目指す一行だったが、追っ手の数は多く、ルッツはラインハルトを逃がすため、自らが盾になると決意する。
第93話『矜持にかけて』
惑星ウルヴァシーでの騒乱、そしてルッツの死を知ったロイエンタールは、ラインハルトとの間の亀裂が、もはや取り返しのつかない状況だと悟る。彼は謀叛を決意した。オーベルシュタインはさて置き、ラングなどの小者によって自らが追い込まれ、皇帝に弁明するなど、彼の矜持が許さなかったのだ。叛乱者としての途を選んだ彼の胸中には、無二の親友、ミッターマイヤーとの思い出が去来する。一方、ラインハルトもルッツの死を知り、遂に決断を下すのだった。
第94話『叛逆は英雄の特権』
ラインハルトは、ミッターマイヤーにロイエンタール討伐を命じる。ミッターマイヤーは親友のために釈明の機会を求めたが、ラインハルトはルッツへの哀惜と自らの矜持を傷付けられた思いから、その願いを退ける。このままでは皇帝自らがロイエンタールを討伐せざるを得ないと、ミッターマイヤーは苦渋の選択を行う。同じ頃、ラインハルトはヒルダからラングの罪状を示した報告書を受け取る。それは生前のルッツが作成を指示したものであった。
第95話『双璧相撃つ!』
宣戦布告がなされたわけではないが、既にロイエンタールの叛乱は規定の事実となっていた。にわかに戦略上の要衝となったイゼルローン要塞に、ロイエンタールの使者としてムライが訪れる。ラインハルト率いる帝国軍がイゼルローン回廊を通過するのを阻止してくれれば、旧同盟領の返還ばかりかトリューニヒトの身柄を差し出すとの申し出を、ユリアンは拒絶する。一方、叛乱鎮圧の勅命を受け、新領土に向けて進発したミッターマイヤーは親友と最後の交信を試みる。
第96話『剣に生き…』
ミッターマイヤーは「疾風ウォルフ」の名にふさわしく、迅速に艦隊を進めた。その速度はロイエンタールの予想を上回り、両者はランテマリオ星域で激突することになる。当初、ロイエンタール側が優勢だったが、ビッテンフェルト、ワーレンらが到着し、戦力は拮抗。戦線は膠着状態に陥る。そこに、イゼルローン回廊を通過したメックリンガー艦隊がハイネセンへ向けて進撃中との報告が入る。ロイエンタールは二正面作戦を避けるため、ハイネセンへ撤退を決める。
第97話『剣に斃れ』
ハイネセンへ向け撤退するロイエンタール艦隊を、遂にミッターマイヤー艦隊が捕捉した。迫り来るミッターマイヤー艦隊に向け、ロイエンタールが先制の一撃を加えようとした、まさにその時、彼を裏切ったグリルパルツァー艦隊が背後から砲火を浴びせた。旗艦トリスタンが被弾しロイエンタールも重傷を負う。激痛に耐えつつ艦隊を指揮し、ハイネセンに帰着したロイエンタールは、総督府に入り、最後の仕事に着手するのであった。
第98話『終わりなき鎮魂歌(レクイエム)』
総督府の執務室に入ったロイエンタールは、民事長官エルスハイマーに政務と事務の全権を委ねた。その後、参事官の地位にあるトリューニヒトを呼び出す。現れたトリューニヒトは民主共和制を嘲り、帝国を愚弄し、ラインハルトをも嘲笑した。ロイエンタールは銃を取り出し、なおも「演説」を続けるトリューニヒトを射殺する。夕闇が迫る中、ロイエンタールは従卒に命じてウィスキーのグラスを二つ用意させる。そして、静かに親友を待つのだった。
第99話『未来への助走』
ミッターマイヤーは、新帝都フェザーンに戻り、ラインハルトにロイエンタールの死を報告した。ラインハルトは彼に「卿は死ぬな」と命じる。かけがえのない戦友を喪った悲しみは、ラインハルトも同様であった。ロイエンタールの忘れ形見である赤ん坊を抱いて我が家に戻ったミッターマイヤーを、愛妻エヴァンゼリンは快く迎え入れ、その子に「幸運」を意味するフェリックスという名を贈る。一方、ラインハルトはヒルダから懐妊を告げられたのだった。
第100話『皇妃ばんざい(ホーフ・カイザーリン)!』
新帝国暦3年の新年を祝う祝賀会の席上、ラインハルトはヒルダとの婚約と彼女の懐妊を発表した。二人の結婚式に参列するため、フェザーンまでの長い旅をしたアンネローゼ。キルヒアイスの死後、3年を経てようやく再会した姉弟であった。アンネローゼは、久しぶりに会ったヒルダにラインハルトを託す。1月29日、粉雪の舞い散る中、結婚式が盛大に執り行われた。しかしその最中、惑星ハイネセンにおいて反国家的暴動が発生したとの報が入る。
第101話『動乱への誘(いざな)い』
惑星ハイネセンでの暴動を皮切りに、新領土各地で騒乱が起こる。その原因は、何者かが流通を阻害したことによる物資の不足であった。旧同盟領の各惑星は、イゼルローン共和政府に救援を要請する。逡巡の末、ユリアンは民主共和政治を守る立場を明確にすべく、開戦を決意。ただちに艦隊を動かした。「イゼルローン軍、動く」の報は帝国全土に伝わり、ワーレンは艦隊を率いてイゼルローン回廊の出口に布陣した。ふたたび動乱の時代が幕を開けた。
第102話『敢えて武器を手に』
要塞を進発した共和政府軍は、大方の予想を裏切って帝国本土側の出口を目指した。これを迎え撃つヴァーゲンザイル艦隊は、ユリアンに接近戦に持ち込まれ、大きな損害を出す。さらには要塞の正面に誘い出されトールハンマーの攻撃で壊滅してしまう。一方、旧同盟領側出口からはワーレン艦隊が進入するが、伏兵として待ち受けるメルカッツ艦隊に攻撃され、こちらも多くの艦を失う。部下の苦戦を見て、ラインハルトは自ら艦隊を率いて出撃するが……。
第103話『コズミック・モザイク』
病床のラインハルトは、ハイネセンの治安を回復させるべく、オーベルシュタインを全権代理とし、実戦指揮官としてビッテンフェルトとミュラーを補佐に付けた。ハイネセンに到着したオーベルシュタインは、勝利に沸く市民を横目に、旧同盟関係者を次々と拘束。イゼルローン共和政府に、人質の助命は要塞と引き換えだと迫る。このやり方に反発したビッテンフェルトは、オーベルシュタインに掴みかかり、謹慎を命じられてしまう。
第104話『平和へ、流血経由』
オーベルシュタインとビッテンフェルトらの不和は、ますます深刻になっていった。ミュラーたちは事態を収拾すべく奔走するが、遂にオーベルシュタインの直属部隊と黒色槍騎兵連隊が衝突する。幸い、ワーレンの活躍で騒動は鎮まったが火種は残った。一方、イゼルローン共和政府も対応に苦慮していた。だが、5000名もの人質がいる以上、フレデリカは帝国からの出頭命令に応じざるを得ないと判断。ユリアンらと共にハイネセンに向けて出発した。
第105話『昏迷の惑星』
旧同盟関係者が収監されていたラグプール刑務所で、何者かの扇動によって暴動が発生し、多くの死傷者が出た。ハイネセンへ向かう途中のイゼルローン共和政府の幹部たちは、暴動発生の報を受け、要塞に一時帰還して事態の推移を見守ることに。一連の報告を受けたラインハルトは、自ら事態の収拾に乗り出す。惑星ハイネセンに赴き政治犯を釈放した彼は、改めてイゼルローン共和政府幹部に対し、ハイネセンにおける会談を呼びかける。
第106話『柊館(シュテッヒパルム・シュロス)炎上』
フェザーンの憲兵本部に、テロを予告する謎の電話が入り、それと前後して爆発事件が発生、市内は大混乱に陥る。そして、アンネローゼと身重のヒルダが滞在している仮皇宮「柊館」を地球教徒が襲撃した。激しい戦闘の中、アンネローゼは身を挺してヒルダを守る。そこにケスラーが駆けつけ地球教徒を一掃、ようやく安全は確保された。しかし、このショックでヒルダは産気づいてしまう。病院に運ばれたヒルダは元気な男児を出産した。次代の皇帝の誕生である。
第107話『深紅の星路(クリムゾン・スターロード)』
イゼルローン共和政府への亡命者を乗せた民間船「新世紀号」が、動力部に異常を来たし、救難信号を発した。これをきっかけとして両軍の衝突が起こる。後のシヴァ星域会戦である。帝国と対等の交渉を行うには一定の軍事的成果が必要と考えていたユリアンは、今がその時、と行動を起こす。一方、ラインハルトも自ら艦隊を率いて戦場に赴く。圧倒的な戦力差の中、無人艦を用いた詭計で帝国軍を翻弄するユリアン。その時、ポプランが驚くべき情報を持ち帰る。
第108話『美姫(ブリュンヒルト)は血を欲す』
「皇帝、不予」の情報を得たユリアンは、総旗艦ブリュンヒルトに強襲揚陸艦を突入させる。病床のラインハルトは幕僚に対し、ユリアンが自身の力で自らのもとにたどり着いたならば、対等の立場を認めようと告げる。ポプランが、マシュンゴが、シェーンコップが、自らの身を挺してユリアンの道を拓く。そして、ユリアンは満身創痍になりつつも、遂にラインハルトの前に立った。ラインハルトは、戦闘の終結を両軍に伝えるようミッターマイヤーに命じる。
第109話『黄金獅子旗(ゴールデンルーヴェ)に光なし』
遂に講和が成立した。喜びに沸き返るイゼルローン要塞だったが、そこに至るまでの犠牲も、また大きかった。ユリアンは、父、シェーンコップを亡くしたカリンに寄り添い、互いの気持ちを確かめる。帝国軍と共にハイネセンに向かったユリアンは、皇帝が不治の病に冒され、その命数が尽きかけていることを知る。一方、ハイネセンの病院に入院していたルビンスキーは、自ら生命維持装置を外す。次の瞬間、ハイネセンの市街は火の海と化した。
第110話(第4期 最終回)『夢、見果てたり』
ラインハルトが新帝都フェザーンへ帰還する旅の途中、ユリアンは皇帝と数回にわたり会談を行い、具体的な講和の条件を定めた。フェザーンに到着したラインハルトだったが、容態は急変。死期を悟ったラインハルトは、ヒルダらに加え、ユリアンも仮皇宮に呼ぶ。そこでオーベルシュタインは、皇帝を囮にして地球教徒の残党を呼び寄せたと語る。最後の戦いが始まり、ユリアンはド・ヴィリエを撃ちヤンの仇を取る。そして、ラインハルトにも最期の時が迫る……。