第1話『諱(いみな)、握りて』
賽銭“5円”で人助けをする自称“デリバリーゴッド”の夜トは、“神器”の雪音、“半妖”となった壱岐ひよりと共に、相変わらず貧乏でマイナーな神様として日々を過ごしていた。そんなある日、夜トは妖を斬り伏せた現場で一枚の“面”を見つける。一方、夜トの天敵である“最強武神”毘沙門は、抱える神器の数を増やし続けていた。身体への負担を心配する兆麻。それでも“死霊”を見捨てることの出来ない毘沙門は……。
第2話『彼女の思い出』
雪音に初めて同年代の友達ができた。喜ぶひよりや小福たち。しかし、打ち明けられない秘密が雪音にはあった。友達とは毘沙門の神器“鈴巴”だったのだ。神器として同じ境遇にある二人は、毎日のように顔を合わせて距離を縮めていく。草木の手入れが得意で、中でも一本の“桜の木”を大切にしている鈴巴。そこには彼の忘れられない一つの約束が秘められていた……。此岸と彼岸の者、雪音はその関係に思いを巡らせる。
第3話『イツワリノ絆』
毘沙門の神器が一人、死んだ。苦痛から体調をさらに悪化させていく毘沙門。薬師の陸巴はいち早く原因を指摘、気づけなかった兆麻は道標としての立場が揺らぐ。甲斐甲斐しい陸巴に心許す毘沙門。しかし、その裏では着々と陸巴の企みが進んでいた。一方、鈴巴に会いに行こうとする雪音を引き止める夜ト。制止を振り切り雪音が駆けつけた先で見たのは、桜の木に花を手向ける兆麻の姿だった。そこで鈴巴のすべてを知らされた雪音は……。
第4話『願(ねがい)』
陸巴に連れ去られたひよりと兆麻は、呪がかけられた洞窟に監禁されていた。毘沙門を裏切った陸巴……その狙いを推察する兆麻は、自分たちの過去をひよりに語り聞かせる。かつて毘沙門の神器たちには共通の呼び名として“麻”の字が与えられていた。兆麻は唯一の生き残りであり、他の“麻の一族”を全滅させたのは夜トだった……。ひよりを救うため、雪音と共に高天原へ向かう夜ト。待ち構える毘沙門。因縁の対決がついに始まる……!
第5話『神祝き、呪きき(かむほさ、ほさ)』
夜トを守ろうとして、毘沙門に斬り伏せられた雪音。その体は“祝の器”となり新たな変化を遂げる。ヤスミに冒された毘沙門は劣勢に立たされる。そこに追い打ちをかけるように“面の妖”を操り、毘沙門の神器たちを次々と襲わせる陸巴。神器たちが死んでいく苦痛に、毘沙門はついに我を失い暴走し始め……。戦い続ける夜トと毘沙門、二人を止めようと足掻く兆麻、衰弱していくひより。そして、因縁の対決は予期せぬ展開を迎える。
第6話『為すべきこと』
“麻の一族”を襲った悲劇。兆麻から過去のすべてを聞かされた毘沙門は、我を取り戻し長年こらえ続けた涙を流す。一連の光景を前にした陸巴は、今の毘沙門の在り方を批判。惨状を招いた責任を負い、毘沙門自ら命を絶ち“代替わり”するべきだと言い放つ。それを聞いた囷巴は反発するが、陸巴は毘沙門をさらに追い込んでいく。それぞれが迎える結末、そして選びゆく先とは――。はるか昔から続いた戦いがここに決着する。
第7話『神様の祀り方』
毘沙門との戦いを経て、ひよりと夜ト、雪音の三人はより距離を縮めていた。進級試験にも無事合格し、春から高校生になったひよりは、新しい制服に身を包み、これから始まる学校生活への期待に胸をふくらませる。そんな中、夜トのもとへスーツ姿の男が訪れる。七福神の一人“恵比寿”と名乗るその男は、祝の器となった雪音を譲ってくれと話す。なぜか煮え切らない態度を取る夜トに対し、心を乱す雪音だが……。
第8話『禍津神』
自分のお社を手に入れて喜ぶ夜ト。一方、道標としての自覚を持ち始めた雪音は、より強くなるため兆麻に術の教えを乞う。夜トの喜びようが気になっていたひよりは、小福から神様に関する話を聞いていた。“無名の神は人に忘れられたら消えてしまう”……それを知ったひよりは、夜トの過去について考え始める。それぞれが新たな一歩を踏み出そうとしている中、それを阻むかのように夜トの前に現れる野良。彼女の真意とは……。
第9話『糸の切れる音』
夜トが消えて一ヶ月が経過した。小福ら彼岸の者は心配を募らせるが、此岸の人間であるひよりは夜トに関する記憶を徐々に薄れさせていく。その頃、高天原では、“妖を傀儡にする術師”に関して新たな展開を見せようとしていた。タケミカヅチが告げたその正体に、驚愕し信じることのできない毘沙門ら七福神たち。一方、黄泉から一人の術師を連れ戻すことで、父親から解放を約束された夜ト。野良と共に訪れた先で出会ったその人物は――。
第10話『斯(か)く在りし望み』
カピパーランドでの出来事に塞ぎ込むひよりであったが、雪音と再会し一ヶ月もの間忘れていた“夜トの記憶”を取り戻す。しかし、依然夜トの行方は掴めておらず気が焦る。その夜トは、襲いくるイザナミを避けながら恵比寿と共に黄泉の出口を探していた。しかし、黄泉において絶対的な優位に立つイザナミを前に窮地に立たされる。それでも“言の葉”を持ち帰ることを諦めない恵比寿。そんな恵比寿に夜トは疑問をぶつけるが……。
第11話『黄泉返り』
恵比寿を救うため黄泉の入り口へと急ぐ毘沙門たち。そんな彼らの前に突如、巨大な風穴が現れる。同じ頃、雪音とひよりは黄泉に入れる可能性を信じ風穴へと向かおうとしていた。しかし、二人の前に毘沙門によって追放されたはずの陸巴が立ち塞がる。ひよりを守るため兆麻から教わった術「縛布」を発動させる雪音だが、陸巴をその名で縛ることが出来ず焦りだけが募っていく。余裕の陸巴は言葉でもって雪音を追い詰めていくが……。
第12話『君の呼ぶ声』
意識を取り戻した恵比寿は、夜トたちを黄泉から救い出す“一つの可能性”を話し始める。「魂呼び」――それは此岸の者が黄泉の淵を覗き込み、諱でもって呼び戻すという方法だった。風穴が閉じられていく中、ひよりは必死になって夜トの名を呼ぶが……。一方、夜トを救おうと黄泉へ向かった毘沙門たちであったが、彼らもまたイザナミに囚われてしまう。さらに地上では、恵比寿を追ってついに天の討伐隊が姿を現そうとしていた。
第13話(最終回)『福の神の言伝(ことづて)』
黄泉から地上へと無事帰還した夜ト。喜びも束の間、待っていたのは天の討伐隊との激しい戦いだった。恵比寿を守るため、満身創痍の体を押して戦い続ける夜ト。しかし、夜トが最後に目の当たりにしたのは、余りにも苛酷な現実だった――。すべてを終え、落ち込む夜トを心配する雪音とひより。恵比寿と出会い、心動かされた夜トが今、胸に抱く思いとは……。