第1部『border:1 Ghost Pain』
戦禍の爪痕癒えぬニューポートシティで自走地雷を使った爆殺事件と、兵器売買における収賄容疑の掛った軍人が銃殺される事件があった。雨烟る中、その軍人の電脳を求め墓地を暴く公安の荒巻大輔。そしてその背中に冷たい銃口を向けたのは、殺された上官の容疑を晴らそうと動く陸軍義体化部隊『501機関』に所属する超ウィザード級ハッカーにして全身義体のサイボーグ、草薙素子だった。だがこの事件を追いかけているのは草薙だけではなかった…。彼らが追い求めるものは、目の前の「事実」と失われた「真実」とが交錯する電脳社会の混沌に身を潜める。自身の未来と掲げた理想のために草薙の本能が今、起動(アライズ)する…。
第2部『border:2 Ghost Whispers』
501機関から独立を果たし軍内部での自由を得た草薙素子。そんな中、何者かによるロジコマへのハッキングが発生する。荒巻の要請で調査のためにロジコマをラボまで移送する草薙だったが、突然、武装集団の襲撃に遭う。そこには「眠らない眼」を持つ元レンジャーのバトーとボーマ、元陸軍情報部のイシカワの姿があった。彼らは混成78部隊の元上官ソガ・カズヤ大佐の無実を証明するために特殊軍事モジュールで電子的作戦を進めていた。だがそれに干渉できる並列解除コードの複製がロジコマに隠されたことを掴みロジコマの破壊を狙う。草薙はヴィヴィーとともに陸軍警察のパズ、海兵隊のエーススナイパーのサイトーをスカウトし反撃に出る。
第3部『border:3 Ghost Tears』
恋人の義体技師ホセと逢瀬を交わす草薙素子の元に仲間となったバトーから西ノ内のビルで起きた爆弾テロの急報が届く。現場に急行し制圧するとテロリストたちはファイア・スターターと噂される超ウィザード級ハッカーにより偽の記憶が植え付けられ、主犯のカルディス人の胸にはかつてクザン共和国で起きたカルディス人独立戦争の英雄”スクラサス”のシンボルマークであるティアドロップ・ダガーの刺青が刻まれていた…。同じ頃、山の手のダムで起きた爆発で刑事が殺されていた。その所持品には”人魚の脚(MERMAID’S LEGS)”という店名の名刺と、”エアリアル”というタグのついた義体の脚部が遺されていたが…。
第4部『border:4 Ghost Stands Alone』
戦後復興の兆しある2028年冬のニューポートシティ…。国外カルテルの利権を巡る水の価格協定への抗議デモを見守る、草薙素子少佐率いる独立攻性部隊の姿があった。その目の前で警備の機動隊による無差別発砲事件が突如発生。それら前代未聞の同時ゴーストハックは電脳ウィルス”ファイア・スターター”が引き金となったものだった。草薙は感染源であるサイードを特定、事件鎮圧のために銃撃する。その最中、草薙の電脳に”枝”をつけた何者かがいた。バトーたちが対象人物の元へと急行すると、そこには全身義体の少女ツダ・エマの姿があった…。